Wednesday, July 27, 2005

catastrophe /kətǽstrəfi/

━ 【名】【C】

1 (突然の)大惨事; 大災害 (類語 ⇒disaster).
2 大きな不幸[不運, 災難].


1 大失敗.
2 破滅, 破局.
3 (悲劇などの)大詰め, 結末.

Ⅲ 〔地質〕 (地殻などの)突然の大変動[激変].
語源
ギリシャ語「転覆」の意; 【形】 catastrophic

彼女が去って、僕の心の中にぽっかりと穴があいた、みたいな表現は誰がいつ頃、始めたのかな。明治時代の人がそんな言い方するのは想像できんな。夏目漱石はそんな表現使わなかったしな(と思う)。なんとなく大東亜戦争後のような気がする、なんとなく高度成長期後のような気もする。わからんな。

レーコが去って、ふとそんな言葉を思い出したけど、そんなこと言ってたやつがうらやましいという気がした。穴があくってことは土台はまだ健在で、そこに欠陥ができただけのことだから、たいしたことないじゃないかと。それにくらべて、レーコの剥奪はやっぱりカタストロフィとしか言いようがない。PCに入ってる辞書を見てみると、大惨事、大きな不幸、大失敗、破局、地殻の大変動・・・。なかなかぴったししてる。

ようやくレーコの身代わりの採用が完了した。三人の国際スタッフと三人のアフガン人スタッフ、それに元々いた国際スタッフ一人とアフガンスタッフ一人がいるから、数字上は8人でレーコ一人分をまかなうことになる。半年経ってレーコの三分の一くらいができれば大成功だろう。甘い見積もりのような気もするが。

カブールを去る前の日のレーコはほんとにボロ雑巾のようになっていた。アホなことに、僕はなんどもボロ雑巾という表現に感動していた。人間はその言葉通りボロ雑巾のようになるんだと、きっとそんなことになってる人間を見た人が「ボロ雑巾のように」という表現を使い始めたんだ、とまあ全然あてにもなんにもならないけど、僕は本気で考えていた。

もうすぐ所長が引退する。次の人も決まった。僕ならさっさと仕事の整理にかかってパッキングとか最後の買い物とかを考えそうな気がするが、この所長は最後の最後まで本気で仕事するつもりらしく、もうボロボロになっている。あまりに痛々しくて見てられない。次から次によけいな(と悪いけど、僕は思ってしまう)仕事を持ってくるし、一日も休まないし、朝の6時でも夜の12時でも平気で電話してきていきなり仕事の話を始めるし、生活すべてが仕事になってしまってる。彼のヨタヨタと歩くうしろ姿を見ると、なぜか僕は「ゲゲゲの鬼太郎」を思い出してしまう。ボロ雑巾という妖怪はいなかったかななんてのんきに考えてみる。

何が人をボロ雑巾にまでさせてしまうのだろうか、と考えながら、鏡の中でボロ雑巾を探して、ああ「ゲゲゲの鬼太郎」全巻読んでみたいと思う楽しい毎日。

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