Friday, March 21, 2008

善い人

コペンハーゲンのテレビでは、American Idol のシーズン7がやっと24人の決勝ラウンドに到達した。ウェブで見ると、既にトップ11人にまで来ているので、かなり遅れて放映されていることになる。

シーズン7は予選の段階から、Brooke White と David Archuleta の二人が突出しているように思えたが、決勝が始まるとやはりこの二人が他を引き離してリードしている。二人とも当然実力派なのだけど、それ以上に画面からあふれ出てくる、人のよさ、素朴さみたいなものが圧倒的な人気の要因のように見える。ウェブには二人ともモルモン教徒だという話が出ているが、だからどうだという論争になっている気配もない。今、American Idol を毎週見て投票している人たちはとにかくこの二人に好感をもっているようだ。見ているだけで気分がよくなる、そう思わせるのも才能のうちだ、みたいな書き込みもどこかで見た。今のアメリカの社会がそういうものを求める気分になっているのかもしれない。これもPost-Bush America 現象なのだろうか。

David Archuleta の方が歌はうまいと思うが、個人的にはBrooke White が好きだ。キャロル・キングやジェームス・テイラーやカーリー・サイモンを聴いて育った僕の世代の人はみんなBrooke White を応援したくなるのではないだろうか。

Brooke White の予選の一部


Brooke White が16歳(8年前)の頃のビデオ


Brooke White が歌う Let It Be


Brooke White が歌う You're So Vain


David Archuleta の予選の一部


David Archuleta が歌うImagine

Race Speech

Race Speech とは、また妙な響きだと思った。
最初、ライブで聞いていたのだが、後でもう一度聞いてみようと思わせるものがあった。
非常にレトリックがうまい。すごい高給のライターやブレインが集まって作ったのだろう。Race is an issue this nation can't afford to ignore right now. のような言い回しは他の候補者にとって、実にうざいのではないだろうか。もはや人種問題を正面からとりあげないと、逃げていることになってしまう。彼はこのようなレトリックの連続を見事に自分のものにして話している。おそろしく頭が良さそうだ。

それにしても、Race Speech とは・・・。人種問題をあえて正面からとりあげるのは選挙戦略としては、誰もが避けたいのではないだろうか。少しぶれれば大火傷をするだろうし、当たり障りのないことを言うだけなら、ボンクラに見えるだけで何も得にならない。きっかけがあったにしろ、彼が人種問題に直球勝負に出る決意をさせたのは何だったのだろう?

例えば、もう絶体絶命というところまで追い込まれている候補者なら、最後のあがきで一発勝負に出たということも考えられる。しかし、彼の場合はそうではない。逆に今追い風が吹いているところだ。だとしたら、ここで一気に差をつけて勝負をつけたいと考えたのだろうか。

選挙戦術的にはいろんな理由があり得るのだろうが、そういう戦術的なことではなく、彼がほんとに人種問題を彼の政治の中心に位置付けている、あるいは彼をそもそも政治に向かわせたのは人種問題であった、というような見方もありえる。大統領選にしたら、あまりにナイーヴな見方かもしれないが、それもブッシュ後に現れてくる現象の一つと思えば、それほど奇怪なことでもないかもしれない。オバマの登場自体がPost-Bush America の象徴のように思える。

Tuesday, March 18, 2008

寒痛い

今日は日光が射す珍しい日だったが、昨日はものすごい吹雪だった。オフィスの壁はほとんど全面、窓のような造りなのでヨットハーバーの上をすごい勢いで舞う雪を見て、仕事をしていたが、終業時間が近づくと自転車で通勤している人たちはタクシーを呼んでいた。僕は家まで歩いて20分なので大丈夫だろうと思って、外に出たが見ていたよりも雪のスピードがすごい。斜めというよりもまっすぐ横から顔に叩きつけてくるので痛い。10分くらい歩くと、顔の冷たさが耐えがたくなってきた。凍傷になって顔が潰れるのではないだろうかと心配になってきた。手で頭や顔に溜まる雪を取り除きながら歩いたが、そうすると雪が水になり顔に張り付いた水がより冷たく感じる。こんなに雪になることを予測していなかったので、底のつるんとしたブーツを履いてきたので、あまり早く歩けない。あっという間に雪は10センチくらい積もっている。まずいことになってきた、ここで挫折したら、このままコペンハーゲンで凍死するかもしれない、と思っていた頃に駅ビルに到着したので、そこのスーパーマーケットに入って身体を温めることにした。ここからは後5分ほど歩けば家に到着する。顔の痛い冷たさがなくなってから、もう一度外に出たが、今度はほんの二分くらいでまた顔の冷たさが戻ってきた。後少しだと自分で叱咤激励しながら歩いたが、頭も痛くなってきた。平衡感覚が少し狂ってきたのがふらふらする。あと一ブロックというところで、もうほんとに限界を感じた。ほんの先に自分の家が見えるのに、あと一本道路を渡る数秒が耐えられるか分からなくなってきた。不思議なことに全身の寒さはまったく感じない。顔と耳と手の痛い冷たさが突出している。ようやく家のドアにカギを差し込むところで、生き延びたと思った。

家に入ると全身に雪の積もった僕を見て、子どもたちはSnow Monster ! と言ってはしゃいでいた。

Sunday, March 16, 2008

従順な日本

WIRED でTED 2008: How Good People Turn Evil, From Stanford to Abu Ghraib を読んでみたら、コメントの方がおもしろかった。日本=従順なサル論は根強く残っているのを感じる。

日本語版は少しだけ、ここに載ってる、 人が悪魔になる時――アブグレイブ虐待とスタンフォード監獄実験

アフガニスタンやイラクやイランを徹底的に叩いて石器時代に戻してやれという戦争肯定派は(原始時代レベルまで"復興開発"したいらしい)、しばしば日本の例を成功例と持ち出すから、また虫酸が走る。あれだけWWII で、こてんぱてんに叩いてやったから、ようやく日本も文明国らしくふるまうようになって、従順に言うことを聞くようになったではなかと、だからいずれアフガニスタンもイラクもそうなるんだ、という意見。もうこれは無知の複雑骨折としかいいようがないと思うのだが、そう見られている日本のえらい人たちの方には何かご意見はおありなのだろうか。

夜、デンマークのテレビで、イラク戦争に行ったアメリカ人の追跡ドキュメントをやっていた。彼らは母国に帰っても結局居場所が見つけられない。ホームレスというわけではない。自分が帰属しているという感覚をもう持てなくなっている。なんとかしてイラクであったことを考えないようにしているが、一日中それが頭から離れない。顕れ方や程度の差はあれ、みんなPTSDに悩んでいるのだ。2001年から、現在までの数人の仲間たちの追跡ドキュメンタリーなのだが、結局一人はイラクに帰っていった。死ぬまで僕の心は平和にならないってことが分かったんだ、他のやつらが目の前に死んだんだから、と言って。

アメリカのイラク侵略戦争はイラクの悲劇とは別にアメリカに悲劇を増産している。ブッシュは21世紀最低の大統領として、それでも歴史に名を刻むのだろう。

人が悪魔になる時

エキサイト・ブログの方はどうやら本格的に潰れてしまったようだ。それなら閉鎖しようかと思ったが、ログ・インできないとそれもできない。ほっとくしかないか。

3月20、21、24日がイースターとかなんとかで休日なので、明日から三日間休むと、3月15日から24日まで10日間の連休になるところだった。先週末からオフィスの人が減り始めたような気がする。明日はほとんど誰もいないのではないだろうか。10日間の連休には僕も目がくらんだが、どうにもこうにも忙し過ぎる。オフィスが静かなうちにあれとこれとあれをやってしまおうなんて考えてしまう。

WIRED で、TED 2008: How Good People Turn Evil, From Stanford to Abu Ghraib という記事のコメントを読んでいたら、現在のアメリカに否定的な方が圧倒的に多いようだが、肯定する側、つまりイラクとかアフガニスタンを叩きのめして石器時代に戻してやれみたいな意見の方(ほんとにそういう言葉を使ってコメントしている)の中には、日本の例がまたぞろ出てくる。WWIIで日本を叩きなおしてやったから、日本も少しはサル知恵で文明と民主主義を学んで、従順になったではないか、というやつだ。

日本はそんな位置づけなんですが、それでいいんでしょうか、という話が一つと、ある社会が武力で他のある社会を武力でねじ伏せて民主化が達成できるという概念の根本的なおかしさが一つ。最後に無知が覆い尽くす先進国の危険性にションベンばちびりばすたい。

興味のある方は上記サイトの本文よりもコメントをお勧めします。中にはアメリカの開国以来の歴史がすべて戦争と侵略の歴史であったではないか、本を読め!とお叱かりしているコメントもありました。日本語でも全訳かどうか分かりませんが、要約は読めると思います人が悪魔になる時――アブグレイブ虐待とスタンフォード監獄実験

そんなのをちらりほらりと読んだ後で、デンマークのテレビをぼんやりと見ていたら、イラクへ出征した兵士たちの行く前、行ってから、本国に帰ってきてからの連続追跡ドキュメントをやっていた。元はアメリカ制作だった。字幕はデンマーク語だったので、かなりつかみそこねら。

イラクへ行く前の明るい青年たちが、イラクから帰ってきて感じるのは、もうアメリカは自分の所属する場所ではなくなったいうことだった。彼らは不眠症に悩み、PTSDに悩み、一日中、イラクのことが頭から離れられないので、山に逃げる者、政治運動に参加する者、強烈に肉体を酷使し続ける者、アジアに放浪の旅に出る者、いろいろいるのだが、一人はもう一度イラクに戻ることに決心した。結局は自分が死ぬまで自分の心に平和は戻ってこないと感じて、二回目の出征に向った。

かなり重いドキュメントだった。

Saturday, March 01, 2008

またか

また風邪ひいた。先週の木曜日に調子が悪いのに気がついた。その日は午後早く帰ったが、次の日には悪化し始めた。のどが腫れて耳の奥が痛い。いつものやつだ。年末に帰国した時にもらった抗生剤があるのでのみ始めた。明日には仕事できる状態になってないと実に困るんだけどなあ。