Monday, October 29, 2007

秋刀魚の棒寿司

朝・昼・晩とか週日・週末とか、そんな区切りのない生活を延々と続けていたので、「あー、やっと土曜日っ♪」なんて感慨を持つことはなかったものだけど、昨日はそれを感じた。それを感じたことに少し驚いた。

今週(10月21日-28日)はマンハッタンのホテルがことこどく満室で、到着日の一泊しかホテルが取れなかった。翌日からは僕がNYに来るのと入れ替わりにバンコクに出張に行くカレンの部屋を借りることになった。それが分かったのも、自分が乗る飛行機が分かったのも、コペンハーゲンを出る直前の金曜日(10月19日)だった。こういうことをするために雇われている人がいるのに、相変わらずどうにもこうにもかったるい。

カレンの部屋はルーズベルト島の素敵なコンドミニアムだった。カレンらしく、きれいに整理整頓されている。ルーズベルト島にはマンハッタンからケーブルカー(ここの人はトラムと呼ぶけど)に乗って渡る。最初はいちいち面倒くさいなあと思ったが、乗ってみるとあっという間に着いてしまうし、イーストリバーの上を渡るケーブルカーからの夜景がとてもきれいなことに気づいた。一瞬だけ、観光旅行をしている気分になる。

今日は昼くらいまでだるくてベッドの上でごろごろしていた。立ち上がる力がなかなか出てこない。やっと休みなんだから、このままずっとボーッとしていたいと思うが、夜中にカレンがバンコクから帰ってくるので、部屋を出なければならない。今日だけ8月に2週間止まっていた42丁目のHelmsley Hotel に泊まる。メアリーがマンハッタン中のありとあらゆるホテルに電話してやっと土曜日の一泊分をここに確保してくれた。値段は8月の約2倍だった。出張費より100ドルほど高い。アメリカ人のメアリーはNYのホテル事情をcrazy, madness と何度も口走っていたがどうしようもない。

* * * 

ホテルにチェックインしたら、もう午後3時くらいだった。一日が早く終わってしまう。フロントの女性が8月にチェックインした時と同じ女性だった。この人は日本でも2年ほど仕事をしていたことがあると言っていたのを思い出した。日本語を少し喋るので重宝されてそうだ。日本人のお客さんが次から次にチェックインしにくる。

登録されている住所をデンマークに変えてもらったら、デンマークにも仕事で行ったことがあるらしく、しばらくたわいのない話を続けていた。これはいい部屋よと言ってカードキーを渡してくれた。前回、喫煙の部屋が一階のあまりよくない部屋にしかなくて、どうするか迷っていたことを彼女は覚えていた。今回は 38階の部屋だった。

その日はまだ何も食べていなかったので、チェックインしてすぐに、めんちゃんこ亭に遅い朝兼昼ごはんを食べに行った。ここの皿うどん(硬焼きソバ)がおいしいので、NYにいる間に何度も食べる。それから、Best Buy に行ってMS Office Standard 07 を買った。先月アフリカからの帰りにアムステルダムの空港で家族用にVaio を買ってかえったのだが、それに入っていたお試し版のOffice が変な動きをするので、NYでまともなのを買おうと思っていたのだった。

それだけですぐに帰ろうと思っていたが、DVDが安いのでぶらぶらと見て歩いたら、「ROME」というDVDを見つけた。エミー賞の8部門にノミネートされたとかいてある。テレビのシリーズだったのだろうか。全部で11枚ある。塩野七生の『ローマ人の物語』の映像版みたいなことを想像して、全部買うことにした。それから、永久保存版にしておきたいと思っていた「V For Vendetta」と「crash」も買った。

その後で、Barnes & Noble に子どもの本を買いに行った。二人とも本が好きなので、いつも本をおもちゃと同じように持ち歩いてる。8歳の長男は絶対読めないような難しい本を学校から借りてくる。4歳の次男は僕が長男の宿題を見ている間ずっと自分の本を脇にかかえて自分の番が来るのを待っている。同じ本を何度も何度も読んでいる。なんかかわいそうなので新しい本を買って帰ろうと思っていた。それにしても、長男の勉強を見ていると学校の勉強のシステムにちゃんとのってないのがよく分かる。そんなものどうせすぐにできるようになるから心配しなくていいと思うのだけど、宿題くらいはできないと学校で片身が狭いだろう。やり方くらいは家で見ないといけないのかもしれないと思う。

Barnes & Noble は、本屋さんというコンセプト、そこで一日中を本を見て回る、そんな時代の化石のような本屋さんだ。時間があれば、自分の興味のある本を見て回りたいが、もう疲れていたのでホテルに戻った。またうとうとし始めた。寝れる時に寝ようと思って、まだ夕方だったがそのまま寝た。

* * *

当然、妙な時間に目がさめた。当然、お腹もすいていた。せっかくの休みなので、このままボーとしていたいが、やがて空腹に耐え切れなくなるだろう。ZENGO のタクさんに前の日連れてきてもらった蘭(LAN)というお店がとても気に入っていたので、そこに一人で行くことにした。店員の人たちも板前さんもとても感じいい。肉料理がおいしくて、寿司もおいしいので、便利な店だと思う。

問題は客だけかもしれない。寿司のカウンターに座ったのだけど、すぐに隣の席に日本人女とアメリカン人(らしい)男のカップルが入ってきた。この男は日本語を流暢に話す。しかし、この女の日本語はいったいどこで習ったのだろう?突拍子もない抑揚であまりにまぬけなやりとりを右耳のすぐ横でやられて、頭がガンガンしてきた。こういう会話はメモしておいて、ライバル店でサクラ客にやらせたら営業妨害に使えるだろう。アメリカン人(らしい)男の方は懸命に爆発を抑えようとしているように見える。ちらっと横を見ると、この男と目が合ってしまった。ご愁傷さまですと、目で合図を送ったら、彼も、これが地球の最後ですと目で合図を返してきた。

焼酎を二杯飲んだら、もう酔っ払ってしまった。なんとなく明け方にまた目が覚めてお腹がすくような気がしたので、秋刀魚の棒寿司をお土産に頼んだ。店員の人が感じいいので、棒寿司を待っている間に焼酎をまた一杯頼んでしまった。

店を出ると、マンハッタンはもうハロウィーン騒ぎの真っ最中だった。

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