Monday, April 30, 2007

誤算

5月1日:朝早く日本に着くと、寒かった。身に着けているのはTシャツ、ジーンズ、パンツ、そしてサンダルの計4ヶ。日本はまだそういう季節ではなかった。さむっ。
がまんしようかと思ったが、リムジン・バスを待っている間に凍りそうになったので、バッグをあけてしわしわになったジャケットを取り出した。

飛行機の中でずっと仕事をしていたので、眠くてしょうがない。
家に着いてすぐに寝ようと思ったが、そんなに簡単にはいかない。2時間くらいは3歳の次男と遊んで、やっとベッドに入った。
それから2時間くらいしたら、7歳の長男が学校から帰ってきた。
「したいことリスト」を作っていたらしい。それを持ってきたので、カレンダーを持ってきてスケジュールを作ることにした。
計画を立てるということはまだ学校で習ってないようだった。有限の時間と無限の欲望の間で苦闘している。
世間の約半分くらいは恐ろしくだんどりが悪いし、4分の3くらいはプライオリティがつけられないし、5分の4くらいは人生を最適化していないことに気がついてないように見える。
子どもの頃に真剣に遊ばなかったせいではないだろうか。

夜、こどものご飯がおわってから、大阪の街に出てみた。
中学・高校が同じという、ほんの数人しかいない友人と魚専門の居酒屋に行った。
居酒屋の風景があまりに変わっていないのには、ちょっと驚いた。
きっと会話の中味もまったく同じなんだろう。

居酒屋を出た後、郊外まで戻って、以前一度だけ行ったことのあるバーに行った。
そのバーをやっているバツ一のおにーさんはウィンドサーフィンでオリンピックをめざしているらしい。
昼は毎日海に行って、夜はバーをする。なかなかいい感じではないか。
一度行っただけだけど、ぼくの音楽の趣味を覚えていたらしく、おもしろい曲の選択をする。

ふと時計を見ると、もう午前3時を過ぎていた。やばいっ!と思ったが当然遅すぎる。
帰るまでにカップルが3組と一人で来た男が3人いた。男二人で来たのはぼく達だけだった。
バーのおにいさんは今日はお客さんがたくさん来たので、もう明日は休んでもいいとか言っていた。
そんなこと言う店にはまた行きたくなる。

途中、近所のオミズ商売のおねーさんらしき人が「あらっ?」とか言いながら、ひょこっと客席側ではなくバーの内側に顔を突っ込んできた。店の入り口からバーの中へ直行したのだ。
全然知らない人だが、あきらかに間違えたふりをしてるように見えた。
バーのおにいさんはそのおねーさんの方を振り返りもしない。
全然関係ないのだが、いいのかな、いいのかなと少し焦りを感じ始めた。
しかし、その時店内にいた一組のカップルも一人もんの男たち二人も全然関心を示さない。
結局、そのおねーさんは誰の注目も得られず撤退した。
バーのおにいさんは間違ったふりして入ってきて注目を浴びたかったおねーさんを最初から最後まで完全に無視し尽した、という解釈でいいのだろうか。
そういうわけだったんですかって訊いてみると、くせになりますからね、とおにーさんは一言。
ぼくは一人で笑ってしまった。この人はいい人だと思った。

家に着いてから、仕事の続きをした。子どもが起きだす少し前にベッドに入った。

* * *
5月2日:さっき寝たと思ったら、あっという間にベッドから引きずり出された。
急がないといけないらしい。どんな計画だったか思いだ出せない。
そうか今日は、ブラジル人家族の家にやってくるブラジル人のトラックの行商に行く予定だったのだ。
頭にまだアルコールが残っていたが、スケジュールを立てる見本をみせた手前行かないわけにはいかない。

行ってみると、トラックの中にブラジルの食品がいっぱいつまっている。大阪にもブラジル人がいっぱい住んでいるのだろうか。
二日後にどこかでBBQをするということなので、ブラジルの牛肉と鶏肉を買った。何か違うんだろうか?

買い物が終わって、やっと帰って眠れると思ったが、長男を迎えに学校へ行くと、なぜかいきなりスポーツ大会が始まってる。
ここまで来て、これは何ですか、と訊くのもかなりアホっぽいが一応その辺に歩いている父兄らしき人に訊いてみた。
どこかの企業がグラウンド全面を覆う人口芝を寄付して、それの貼り付けが完了した記念の大会なのだそうだ。
これはスケジュールもれだ。それならそうと予め分かっていたら、カメラくらいもってきたのに、と思ったが、もう遅い。
後で長男には計画というのは常に破綻する可能性があるものだということを言っておこうと思った。

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