Wednesday, July 16, 2008

Books and Movies

記録を見ると、4月23日から5月1日までがニューヨーク出張になってる。その時に買った The Bottom Billion: Why the Poorest Countries Are Failing and What Can Be Done About It , Paul Collier, 2008.をカブールで読もうと思っていて持って行くのを忘れたのはここで書いたかもしれない。カブール出張は5月23日から6月8日までになってるので、それからまた一ヶ月以上経っていることになる。今度こそイスラマバードで読もうと思って持ってきた。が、なかなか手をつけられない。

2週間の休みをとって来たはずなのだが、結局休みにならない。誰が休みを取ろうがそんなこと関係なく、膨大な量のメールが延々と入ってくるし、誰かが処理しなければならない仕事は常にあるのだがら、その処理をしろと言う人がいないと結局仕事がすすまなくなるので、ほっとくわけにもいかない。どこから電話がかかってくるかも分からないし、どこにかける必要が出てくるかも分からない。こっちに来てからロンドン、コペンハーゲン、ニューヨーク、東京、カブールから電話がしばしばかかってくる。コントラクタとの新規契約の許可申請をしたり、予算改定したり、もうずるずるだね。

しかし、そういうことだけが The Bottom Billion に入り込めてない理由ではない。休みならではの理由もある。まずイスラマバードに来て早々本を買ってしまった。当然、僕の頭の中の焦点がそっちにいってしまい、それをぱらぱらと開き始めると、もうそっちの方に関心がしゅーっと行ってしまう。

買った本。
Descent into Chaos, Ahmed Rashid, 2008.まだ読んでない。最初の数ページだけ読んでみたが、この人の文章はやはりジャーナリストの文章だ。内容がジャーナリスティックだと批判しているのではなく、そのスタイル。プロのライターと言った方がイメージが沸きやすいかな。彼の『タリバン』の翻訳書は読んだことないが、日本語になると、そんなスタイルはろ過されてしまうかもしれない。内容とは別に、学者には書けない文章のリズム、子気味良さがある。それが世界で何百万部も売れた理由の一つだろう。

と書いてThe Bottom Billion の方を思い出したが、正真正銘の学者、Paul Collier の文章はものすごくcrisp なのだ。内容の深刻さとは対照的に爽快感のあるスタイル。だから、学者の本と言えども、一般人も引き込まれてしまうのだろう。

FORGOTTEN WARS - The End of Britains's Asian Empire, Christopher Bayly, and Tim Harper
まだ読んでない。サイード・ブックストアで見つけて、パラっと開いてみてどうしても読みたくなった。裏表紙にこんなことが書いてある。
---The Second World War ended officially in 1945, yet for Asia the conflict was far from over. Britain's Asian Empire was engulfed in a new series of diverse, intense and bloody wars, which raged throughout Indonesia, India, Burma, Malaya and Vietnam as an unstoppable wave of nationalism swept the old colonial ways aside. This is the story of the struggles of military commanders and revolutionary leaders, but also of orginary people caught up in the insurgency, rioting and turmoil that heralded the birth of a new Asia---

日本の文脈で出てくる「日本はアジアを西洋の植民地支配から解放して日本は感謝された」論を、イギリスの視点から見たらどうなんだという興味もあるが、そんなことよりも、戦争でいったん機能不全に陥った国が再び機能し始めるまでの道程をこういう具体的に歴史で見てみるのは実に興味深いと思う。かなり前BBCだった思うが、アフガニスタンの復興事業の数々をとりあげて、例えば税関の制度とか、警察制度とか、そういうものがいったい他の国では成立して機能するまでにどれくらいの年月がかかったかというのを比較して、映像として紹介してるプログラムがあった。いわゆる国際社会の、Nationa-buildingやら State-buildingやら Peacebuilding の勇ましいスローガンがいかに幼稚な絵空事に過ぎないかをあぶりだすようなプログラムだった。目次だけで中味のない本のようなものだ。その基礎にあるのは、人類が何百万年にも渡って蓄積してきたであろう社会の成立のためのありとあらゆる知恵に対する圧倒的な過小評価と無知があるのだろう。それは、たとえば民主主義なんて一言に還元できるものであるわけがない。

Occupational Hazards, Rory Stewart, 2007.
一気読みした。躊躇なく★★★★★★★
やっぱりOccupational Hazards については感想をいつか書こう。








さて、パキスタンといえばDVD.買いましたよ。

SUPERHIRO MOVIE:
ゴミですね、これは。

Lions For Lambs:★★★
これは会話、上院議員とジャーナリストの会話は素晴らしい出来だった。トム・クルーズとメリル・ストリーブが演じるのだが、彼らの会話をする時の演技は実に素晴らしかった。これは日本では『大いなる陰謀』という邦題になったそうだが、いまいちずれてる。この会話を字幕で追いかけるのは不可能だろう。大学教授と学生の間の会話、これも一つの柱だったのだが、これもいい。実にいいシナリオライターがいて、こういう台詞の言い回しを作ることができたのだろう。映画としての出来には不平もでるかもしれないが、この会話だけでも十分価値のある映画だった。ある意味で、これが21世紀のイージーライダーなのかもしれないと思った。

RENDITION:★★★
上記の映画もこれも結局、9・11以後の同時代を描こうとしているのだが、一個の映画としてまとまりよく成立しているのはこっちの方だろう。

Blood Diamond:★★★★★
強烈。しかし、現実はもっとはるかに陰惨で強烈で救いがないのだろう。しかも映画のような結末もない。構成やカメラやシナリオどれをとってもSuperb。そしてデカプリオの演技がすごく良かった。南アフリカ訛りをすごくうまく出していた。
現在も20万人のチャイルド・ソルジャーがいるそうだ。後藤健二の『ダイヤモンドより平和がほしい - 子ども兵士・ムリアの告白』を合わせて読むと分かりやすいかも。

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