Friday, April 25, 2008

おっさんは不滅です

クライアントとランチを食べているとAに電話がかかってきた。Aはさっと席を立って携帯電話を耳に張り付けたまま店から出て行った。
女だな、と思った。
案の定、Aは帰ってこない。ランチはお開きとなり、店から出ると、Aはしかめっつらをして、携帯電話を耳に張り付け、道路につっ立っている。
オフィスに戻って、BにAは当分帰ってこないと思うよ、と伝えた。AとBと三人で午後全部つかってミーティングする予定だったのだ。
Aに何が起こっているのか僕は何も知らないし、何をきいても解決できるわけでもないのできく気もない。
トラぶってるみたい、とだけ言って、それ以上何も言わなかったが、Bは「そういうことはあるもんだ」と言って、すべてを察したようだった。こういう時、なぜか男どうしは優しくなる。連帯感のようなものだろうか。
じゃあ、Aが戻ってからにしようということになったが、どうにもならないだろうと僕は思っていた。
結局、Aは3時間以上話していたみたいだ。
疲れ果てた様子でオフィスに戻ってきたAに「死にたいって言ってたか」と言うと、Aは何かもごもご言った後、手首を切るって言われたら、太ももの静脈を切った方が速いって言うんだというアドバイスをする友人の話をして、ヒクヒクと引きつった笑いをしていた。アーメン。

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日本人おっさんA
「アフガニスタンって分かる?」
日本人ネーちゃんA「あっ、南米のどこかでしょ?」
日本人おっさんA「無理しなくていいんだって」
日本人ネーちゃんA「えー、ちがうの?どこお?」
日本人おっさんA「インドとか、中央アジアとか、あっちの方の、あっ中央アジア分かる?」
日本人ネーちゃんA「えー、イラクとかあ?」
日本人おっさんB「南米、南米。アフガニスタンは南米」
日本人ネーちゃんA「ほらーっ」

日本人おっさんA「ビン・ラディンさんとかがいてね、あっビン・ラディンさんって知ってる?」
日本人ネーちゃんA「知ってますよ~」
日本人おっさんA「無理しなくっていいから。えらいことやらかした人だよ」
日本人ネーちゃんA「えー、ワールド・トレードセンターの人でしょ」
日本人おっさんA「何した?」
日本人ネーちゃんA「えー、違うの?」
日本人おっさんB「地下鉄で痴漢して捕まった人だよ」
日本人ネーちゃんA「・・・そ、そ、その人でしょ」
日本人おっさんB「うん、ワールド・トレードセンターでも痴漢したらしい」

日本人おっさんA「君はNYで何してるの?」
日本人ネーちゃんB「ダンスの勉強してるんです」
日本人おっさんA「何の?」
日本人ネーちゃんB「ヒップホップ系でえ、かなり黒いっていうかあ・・・」
日本人おっさんA「ラップか?」
日本人ネーちゃんB「???うーん、それもありますけどお」
日本人おっさんA「どこから来たの?」
日本人ネーちゃんB「舞鶴出身です」
日本人おっさんA「岸壁の母だね」
日本人ネーちゃんB「火曜サスペンスですよね」
日本人おっさんA「はあ?君、岸壁の母を知らないのか」
日本人ネーちゃんB「えー、火曜サスペンスじゃないの?」
日本人おっさんA「無理しなくていいんだって。岸壁の母というのはね、(ここから約10分続く)」
日本人おっさんB - 沈黙を貫き通す。

凄まじい。日本のおっさん会話は永遠に不滅だなあと思った。
ちなみにB は僕です。

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懐かしいおっさん文化の復習をして外に出ると、
TokoJawsって?
確かにそう聞こえた?トコジョーズってなんだ?トムジョーンズって言ったのかな。
「TokoJawsな子がいっぱいいますよー」
うん?それは床上手?こんな言葉実際に使ってる人みるの初めてかもしれない。
古代語?Bed Goodder ?そんな英語にしてみたい一言。
ニューヨーク52番街2丁目と3丁目の間を歩いていると、そんな勧誘に次から次にからまれる。でも、大阪の東通り商店街のような強引さもあつかましさも怖さもない。非常に丁寧。
しかし、アメリカ人はきっと知らないんじゃいだろうか、こんなことがここで起こっているなんて。日本人による日本人相手の商売だからねえ。

日本は不滅だな、と思いながら宿まで歩いて帰った。

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