Thursday, December 13, 2007

鼻曲がり文

ここのオフィスに来てから、同じオフィスの同僚に送った仕事メールの返事に「今日は家で仕事してるんだけど」という前置きのついてるものがちょこちょこ来る。最初は体調でも悪くて休んでいるのに、家でメールをチェックしたりして、結局仕事をするはめになっているのかなと思っていたが、どうもそうではないようだ。「家で仕事してる」メールが多過ぎる。というわけで、最近はなんかそういう制度があるのだろうと思っていたのだが、特に追求もしていなかった。

今日"Work-Life Policy"というSubject のメールがやってきた。オフィスでは直接仕事に関係しないメールを読んでいる余裕がないので、家に帰ってから読んでみると、これが仕事と生活のバランスを改善しましょうという意気込みのメールであった。

全然聞いたことなかったが、前の国連事務総長がフレキシブルな労働環境を奨励していたそうなのだ(興味のある人は国連のホームページでこれをダウンロードできると思う→ST/SGB/2003/4)。で、トップがそういうこと言い出すと、下々の部隊もそれにならわないといけないわけで(たとえ5年遅れであっても)、2008年1月から実施する"Work-Life Balance"を改善するための実験的措置(パイロット)を通告するというのがこのメールの趣旨であった。

まず最初に原則として、6項目が挙げられている。

1.仕事と家族生活のバランスを改善すること。
2.職員のクリエイティビティと生産性を最適化すること。
3.上司と部下の間でアカウンタビリティと信頼を構築すること。
4.この措置の実施によって組織にいかなるコストも発生しないこと。
5.フレキシブルな労働環境(working arrangement)は権利(entitlement)ではない。
6.この政策の効果のあるものにする責任は職員の側にある。

まーなんというか、今さらですが、役所臭くて鼻曲がりそうでしょ。

その後に具体的な措置について書いてあるのだけど、一つ目のオプションが、Compressed work schedule というタイトルで、要は全仕事時間は一定にして、出勤する時間を減らそうってもの。

1.週の最初の4日間、一日9時間仕事して、金曜日を半ドンにする。
2.一日45分ずつ多く仕事して、2週間に一回金曜日を休みにする。
3.週の最初の4日間、一日10時間仕事して、金曜日を休みにする。

一日の仕事時間が12時間以下ってことはまずないし、土日まったく仕事をしないってこともまずないなんて実情は完全に念頭にないのだろう。上の三つとも1日8時間・週5日間という仕事が前提になっている。

そして二つ目のオプションは、Telecommuting というタイトル。1週間に1日を限度として、職員のコスト負担で家もしくはどこか他の場所でネットを利用して仕事するというもの。もうすでにどこにいようがネットで繋がって結果的にはどこでも常に仕事するはめになっている実情のはるか後方にいるのがよく分かる。むしろこの猛烈なITの浸透によって、仕事に侵食され続ける職員の私生活をどうやって仕事と切り離すかってのが組織の課題でしょうが。

こりゃ、サル芝居ですか。形だけなんか整えたように見せているけど、中味について真剣に考えたとは思えない。こういうのをお役所仕事っていうのだろう。

とかなんとか言って、夕方になると、ほとんどのお店が閉まってしまい、週末になると生存の危機を感じるほど何もかもしまってしまうコペンハーゲンでは、出勤を週四日に限定してしまうと、お店の開いている時間に行動が自由になるわけで、そのメリットはかなり高い。誰にも話しかけられずに仕事に専念できる時間が取れるというのもかなり威力がある。

このパイロット、乗らせていただきましょう。

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