Sunday, September 07, 2008

スリ作業中

コペンハーゲンにいる間は、家から徒歩30分圏の外に出ることはまずない。オフィスまでは毎日20分ほど歩いて行くし、コペンハーゲンの中心地まで歩いても30分もかからない。引越してきた当初は気がつかなかったのだが、都心のど真ん中に住んでいるようなものだ。

今日は次男の友達の誕生日パーティーのある場所まで行かなければいけないので、久しぶりにちょっと遠くまで電車に乗った。乗っている時間は30分ほどなのだが、ほんの少し中心部から離れると農村地になるので電車の窓から風景を見ていると遠出をしているような気分になる。日本中どこへ行っても県庁所在地の駅の周辺はやたらとコンクリートで醜くなっているが、ちょっと離れると美しい日本がひょこっと顔を出し始める、あの感じと似ている。あえて美しい日本という表現を使ってみたが、えらい人に妙な使われ方をされて以来、どうも違和感を感じてしまう。残念なことだ。

結局今日は半日ほど外で過ごした。帰りの電車が中央駅を通過する頃、車内放送を聞くでもなし聞いていると、珍しくデンマーク語と英語でやっている。スウェーデンからコペンハーゲン空港駅を通ってやって来る電車なので特別なのかもしれない。そもそも車内放送というものがめったにないし、あってもデンマーク語しか聞いたことがない。

"Please be aware that pickpockets are operating around the Central Station..."

これには笑った。語感としては「中央駅周辺でスリが作業中であるのをお伝えします」みたいな感じだ。意味は伝わるがおもしろい表現だ。

僕も2ヶ月ほど前、その中央駅周辺で財布をすられたのだが、その後遺症はまだ残っている。銀行のカードやクレジット・カード以外に自分の財布の中に何が入っていたかを正確に覚えているわけはないので、紛失による問題が発生するごとにちょろちょろとそれを思い出すことになる。pickpocket 達は今日もoperate しているんだろうな。

Saturday, September 06, 2008

ブルドーザー

5歳の次男の友達の誕生日パーティが明日あるというので、誕生日のプレゼントを買いに行った。長男は自分の友達の誕生日パーティに出かけていた。週末はほとんど誰かの誕生日パーティがある。同級生を全員招待する必要もないと思うのだが、どうやらそういう習慣が息子たちが通っている学校でも日に日に広まっている。ほとんど親の競争意識が原因ではないかと思うのだが、毎週末つぶれる結果になって結局親達が自分で自分の首を絞めるはめになっている。親は自分の子どもに関しては全世界普遍的にバカなのだろう。

日本米がなくなっていたので、それが買える店の近くでおもちゃ屋を探そうと思っていた。今まで気がつかなかったが日本食在店の斜め前がおもちゃの店だった。店の前を通りかかって、すぐに次男が気がついたのだ。

店の前のカゴにいくつかの商品がならんでいる。次男はまず凧をとりあげて、I think he likes this. と言っている。次に、全長25cmくらいのトラックをとりあげて、He likes a car.  I think he likes this. と言う。それから、もっと他のも見ようと言って店の中に入っていった。きっと自分のおもちゃが欲しくなって、それも買うはめになるだろうと、その時点で僕は覚悟していた。

しかし、次男はいっこうにそういうそぶりを見せず、友達のおもちゃ探しに専念しているように見える。次から次に、I think he likes this. をくりかえしてるが、すべてのおもちゃを取り上げてそう言ってるわけでもないので、どうも彼なりの基準、つまり彼が自分の友達が好きだと思うようなおもちゃの基準、があることは明らかだ。

しばらく店内を徘徊していて次男は大きなブルドーザーを見つけた。店頭にあったものと似ているが、大きさは2倍以上ある。次男は自分でもかなり興奮しているように見える。値札を探そうとしているが、見つからない。大き過ぎてただ持ってかえるのが面倒くさいなと思う。なんか他の小さなものを見つけてくれることを一心に願って次男を促して一応店内を一巡してみたが、全長60cmほどのブルドーザーの魅力を上回るものがない。他の店も見てみようかと言ってみると、次男はむしろそれもいいという顔をしている。

しかし、あんまり強行にブルドーザーを主張する様子がない。店頭にあった25cmほどのトラックはどうかと聞き返す。変だなと思って、あの大きいブルドーザーの方がよくないかともう一度きくと、次男は
Do you have money ? ときく。

一瞬あたまの中に、はあ?と言う言葉が浮かんだが、次の一瞬次男の考えていたことに気がついた。僕がブルドーザーを買うことに逡巡していることを感じ取って、次男は僕が十分なお金をもっていないのではないかと考えていたのだ。まだ次男の頭の中では大きいおもちゃほど高いということになっているのだろう。だから、小さい方のトラックなら大丈夫ではないかと考えていたのだ。実際おもちゃの値段とサイズが一致していた時代もあったのだから、子供がそう考えるのも大人が思うほどおかしなことでもないのだと思う。

それから、日本米と晩御飯の買い物をするとそれだけで、二つのショッピングバッグがいっぱいになってしまった。次男は自分のからだの半分くらいの大きさのおもちゃの入ったビニールバッグを両手でもって家まで運びきった。