Saturday, December 08, 2007

初めての夜

昨日の朝、ミケーラは1時間ほど電話しまくって、病院と話をつけ、彼女もいっしょに病院に行くことになった。結局、妻は検査のためそのまま一泊することになった。ミケーラはオフィスに戻り、僕はその後、医者に会ってから、その日は次男のクラスのオープン・ハウスだったので、子どもの学校へ行くことにした。

とはいうものの、実はオープン・ハウスが具体的に何を意味するのか僕は分かっていなかった。日本でいう参観日みたいなものだろうと思っていたが、少し違った。親もクラスの活動の一部とみなされているようで、まあ、なんというか、親と子どもがまじってごちゃごちゃと過ごすという感じだった。

学校が終了してから、子ども二人を連れて、病院へ向った。今日はお母さんは家に帰ってこないのだということをどうやって伝えるかをずっと考えていたのだが、結局何も思いつかず、駅へ向う道であっさりと今日はお母さんは病院に泊まるからねと言うと、何も反応がなかった。今から思うと意味が分からなかったのだろう。僕が覚えている限りでは、二人とも生まれてから今までお母さんなしで過ごす夜は一日もなかったと思う。

それから、4歳の次男の方はずっと何か考えている様子で、何も喋らなくなった。8歳の長男の方は具体的にはいつ帰ってくるのかということを何度もきく。実はその時点では僕も分からなかったのだけど、明日か明後日と答えた。

病室に着くと、長男はすぐに母親が横たわっているベッドに駆け寄って行ったが、次男はまるで人見知りをしているような感じで、母親のいるベッドになかなか近寄ろうとしない。なにかいつもと違うという状況は認知しても、それがなんなのか理解できず圧倒されていたのではないだろうか。いつもは長男よりもずっと賑やかな次男が今は黙りこくっている。

母親に促されてやっと母親に抱きついたが、またすぐにベッドの横のイスに腰掛けたまま黙っている。病室に1時間ほどいたが、その間喋っていたのはほとんど長男だった。帰る準備を始めた時に一階の玄関まで送っていくためにベッドから出ようとした母親を見て、今までじっとしていた次男が即座に反応をした。危ないっ!とでもいうように、母親の動きを止めようとしたのだ。

次男は病院のベッドに横たわっている母親を見て、足に何か異常が起こっているのだと考えていたようなのだ。彼なりに懸命に事態を把握しようとしていたのだろう。それで急に起き上がろうとしたものだから、思わず止めようとしたらしい。4歳なりの思考がなんとも言えずおかしいのだが、子どもといっても大人の想像をはるかにこえた思考が存在するのだと思った。

その後、息子二人とスーパーマーケットで買い物をして、家に帰って豚のしょうが焼きを作っていると、次男が一人で泣いていると長男が報告に来た。彼にとっては、お母さんのいない初めての夜なのだ。見に行くと、次男は床にすわってじっとして涙ぐんでいる。明日は帰ってくると言って、三人でごはんを食べた。その日は次男のベッドでいっしょに寝た。

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