Thursday, February 08, 2007

レーコがやってきた。

She's arrived と、レーコのヴィザとセキュリティ・クリアランスとフライト・チケットの手配を、普通は軽く1週間以上かかるのに、すべて5時間でやってのけたザビが窓の外の方を親指で示してニコッと笑いながら言った。僕がレーコをずっと待っていることを知っていて、わざわざ僕の部屋まで連絡しに来てくれたのだ。

二階にある僕の部屋の窓から外を見ると、空港から到着したばかりの防弾車から降りるレーコが見えた。すぐに走って階段を下りて外に出て行った。視界の隅に笑っているザビが見えた。思いっきり走って行ったので勢いがあまって、レーコに飛びヒザ蹴りを入れそうになったが、急ブレーキをかけてレーコに抱きついて挨拶した。ついでに隣に立っている、同じ飛行機で帰ってきたアミールにも抱きついた。

二年前の夏、ボロ雑巾のようになってカブールを去った天才少女が、すっきりとした大人の女になって帰ってきた。
ウーム、NYに住むとこうなるのだろうかと僕はちょっと田吾作の顔をして考えてみた。

* * *

ミゲナの家にレーコが泊まるので、僕も夕食はミゲナの家で食べることにした。夕食よりもミゲナがアルバニアから持ってくる地酒、ラキアを飲みたかった。めったに外出しないユカリ嬢も珍しくやってきた。3人の女性達はラキアも他のアルコールも飲んでいなかったが、僕は一人で飲んでいた。他の人にお酌をするというしきたりがないので気楽に一人で延々と飲んでしまう。お酌をされると僕は機嫌が悪くなるので困る。10時半頃にはユカリ嬢は帰ったと思う。11時頃にミゲナは自分の部屋に戻っていったと思う。到着したばかりで一番睡眠不足のレーコは最初半分寝ているような感じだったが、最後まで残っていた。レーコと二人だけになった頃には僕は完全に一人で泥酔していたはずだ。何を話していたのかまったく覚えてない。ハッと気がつくと午前1時だった。もう3時くらいかと思っていたとレーコが言ったのを覚えている。しかし、その後、どうやって帰ったのか全然思い出せない。向かいにある自分の家まで歩く途中の泥でぬかるんだ道の表面とか、家の白い鉄扉の冷たい感触とか、まったく意味のない断片だけが記憶に残っている。

* * *

のどがカラカラになってはりついて、背骨が粉々になって、頭を金属バットで殴り続けられているような気分で目が覚めた。時計を見るとまだ午前5時くらいだった。なんとか起き上がってトイレに行って吐こうとしたが、ゲーッとお腹の中から吐き気が上がってくるだけで、何も出てこない。ゲーっと上がってくるたびに涙が搾り出されてそれが鼻に入ってきた。鏡を見ると目が腫れて鼻水が垂れて、そのままハロウィーンに使えそうな顔になっていた。

今日は朝9時半にセレナホテルのジムに行く約束と、12時にランチの約束と、その後飲む約束があった。アホではないかと思ったがもう遅い。ロキソニンと大量の水を飲んでからアラームを8時に合わしてもう一度寝た。7時頃にまた目が覚めた。ひどいゴミのような気分はまだ続いている。アルカセルツァーとまた大量の水を飲んでベッドに横になったが、もう眠れない。昨日は何を話していたのか思い出そうとしたが、やはり何一つ思い出せない。頭が動くと残像が残る。脳みそにアルコールが滲みこんでいるような気がする。

9時頃にセレナホテルに着いた。ジムに行って走ったりしたら死ぬんではないだろうかと思いながら、NSさんが来るのを待っていた。

No comments: