Sunday, February 25, 2007

Fairy-tale country

とうとうブータンにやってきた。
ここに着いてから、「なんて素敵な国なんだろう!」というセンテンスが一日に何度も頭の中に浮かんでくる。

初めて来た国なのに、懐かしさにハッとすることが何度もある。駄菓子屋さんの古い木戸の前にたたずんで静かに話しをしている、着物のような制服を着た女学生たち。その前を赤ん坊を背負った、やはり着物姿の女の人が通り過ぎていく。こんな場面に出会ったことがある、と思う。それが自分の記憶なのかどうかさえ怪しいのだが、確かに郷愁が胸の中いっぱいにわいてくる。



広場の中に立つ時計塔と広場を囲む、コンクリートではない建物。こんな場所が40年くらい前にはどこかに確かにあったとまた思う。ただそれがどこだったのか思い出せない。だから余計に郷愁が強くなるのかもしれない。

日本の着物とそっくりの服を来た人々が通りを行きかう。僕はその中をジーンズをはいて歩いているのだが、どんなに慣れている国にいても、外国の街を歩く時に感じる無言の圧迫のようなものを微塵も感じない。まるで何十年も住んでいた街にいるようだ。





自然破壊を未然に防ぎ、伝統文化を維持しながら、少しずつ着実に普通の人々の生活を豊かにしようとしている国。開発・近代・民主主義という悪魔の囁きにあっさり溺れることのない賢い人々の国。地球上にたった一つだけだろう、こんな国。

出国の前日、首都のティンプーから空港のあるパロに移動した。川に沿った道を17年前LAで同級生だったブータン人の友人が運転する車で走っていく。途中で通行止めにあった。道が細いので一方通行にしていたのだ。一時間待てばこっちから向こうへ走る車の番になるという。のんびりしたものだ。

車を運転している人も誰もあわてない。イライラしている人も一人もいない。道端にお菓子や飲み物を置いて売っている人がいる。車の中でぼんやりしていると、一人のおばあさんが干した赤唐辛子を売りに来た。ソナムがカブールでいつも使ってるやつだ。いくらか聞くと1キロ分くらいの大きな袋にいっぱいで 200円くらいだという。全部使うのに2年くらいかかりそうだと思ったが、一袋買った。


車の中に座っていても退屈なので、外に出て川のある崖下に向って歩いてみた。川の水が透き通っている。どこにも車が走っていないので聞こえる音は水の音だけだ。きれいな空気に澄んだ水。人間はこの自然に何をやらかしたんだろう、と思う。

オシッコがしたくなったが、どこにしてもいいってものでもないだろう。それなりの決まりがあるかもしれない。崖の上の方で心配そうに僕を見ている友達に「オシッコがしたいんだけど、どこですればいい?」って怒鳴ってみた。手振りで「その辺」と言ってる。

オシッコをしながら、渓谷を流れる川から少し視線を上げれば、遠くの方には頂が白くなった高い山の連なりが見えた。ヒマラヤ山脈の一部なのだろう。その上の空はとても青い。

崖の上にむかって歩き始めると、崖と思っていたものが段々畑状になっているのに気がついた。とてーも細い段々。そこに梅の花が咲いていた。素敵な国だ。

江戸?(↑)


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