Sunday, February 12, 2006

カタカタ

エアロスミスの "Fly Away From Here" を何度も聞いているうちに嫌でも歌のフレーズが断片的に頭の中に沈殿してくる。最初はほとんど意味のないウワ~ェイワゥ~オィなんて音が、単なる音からだ んだん意味のある音にかわってくる。音の一片が意味に変わると、その前後の断片も流れで意味化してくる。

そして、全貌が見え始めたら、いろんな日本語の単語が浮かび始める。意味をなすことと日本語の単語が浮上してくることは異なった次元の出来事なのだ。

「I have a pen.」は日本の義務教育を終えた人なら誰でもパッと意味が分かるだろうと思う。でも、いざ一通りの日本語を当てはめるとなると、これが至難の業だ。

「私はペンを持っています」
「わたし、ペンを一本持ってるの」
「ぼくちん、ペンあるもんねぇ~」
「ペンはあるって!」
・・・
いくらでも訳しようはある。あるいは、「I have a pen.」の住む環境がすべて分からないと日本語にしようがないとも言える。

スティーヴン・タイラーが日本語を喋ったとしたら、やっぱり自分のことは「オレ」って言わないといけないような気がする。でも、"Fly Away From Here"の全貌が見えてくると、どうも70年代の日本のフォークソングの臭いが出てくる。「人間なんて、らら~らららら~ら」とか、「あのぉ~素晴ぁ~ らしき愛を」とか、そんな臭い。全然ロックっぽくなくてエアロスミス・ファンが聞けば激怒するかもしれないけど、でもこの歌詞はそういう臭いなんだなあ。

エルトン・ジョンの「Your Song(僕の歌は君の歌)」だって、よく聞けば、日本で言うと「神田川」の抒情に近いものがある、っていつか書いたような気がする。ただ向うは「屋根の 上にすわって苔を足でけったりしながら、今はお金ないけど、お金持ちになったら二人で住める大きな家を買おうね、とか僕の贈り物はこの歌」なんて言って て、かたや日本では「二人で行った横丁の風呂屋を「一緒に出ようね」って言って、でもいつも私が待たされ、洗い髪が芯まで冷えて小さな石鹸カタカタ鳴っ て、貴方は私の身体(カラダ)を抱いて「冷たいね」って言う」という違いはあるけど、よくよく考えれば、スタイルが違うだけで「貧乏だけど頑張るんだ」 みたいな70年代の若者の抒情歌っていう点ではほとんど変わらないのではないかと思う。エルトン・ジョンとかぐや姫のどっちのファンも怒ると思うけど。

というわけで、エアロスミスの"Fly Away From Here" から頭の中に落ちてきた日本語を歌詞ちょうどに当てはめてみた(↓)。なんか歌詞だけ見ると、やっぱり白いフォークギター持って貧乏そうな長髪の若者が 歌っててもおかしくない感じしない?「史上最強ヘヴィメタ・ロッカー、夢と希望を歌う!」みたいな。

でも、いい曲ですね。"fly away" のしつこいリフは100%売れないと困るバンドならではのものだし、それでも飽きないように、スティーヴンさんも歌に何度もこまかなタメを入れる工夫して ("gotta do what it takes"とか"and any time you want"とか"we won't let nothin'or no one keep gettin' us down")、かつ曲そのものにギアチェンジも頻繁に入って("won't let time pass us by"とか、"if this life gets any harder now"とか、"do you see a bluer sky now?"とか)、プロが一所懸命考えてほぼ完璧になるまで練りつくした感に打たれる。どんな仕事でもそこまでやられるといいものだ。きっといいかげん感 が出る仕事はすべての分野でクズなんだろうな。

昨夜、Cさんの追悼の集まりに行った。彼が好きだった「スコットランドの花」をみんなが合唱して、涙が暴発した。ベイリースと焼酎を交互に飲んでると元気 になってきた。結局、二件はしごして(呼ばれもしてないパーティに勝手に行って)明け方に洗面所で吐いた。今朝、今年一番重要な会議でプレゼンをすること になっていた。昨夜の煙草の吸いすぎで声を出すのが苦しかった。資料とパワポのスライドは作ってあったが、話の手順を決めていなかった。ぶっつけ本番でし ばしば何を言ってるのか分からなくなった。もう悲惨。みんな分かっただろうか。大事な時の二日酔いというのは一生ついて回るような気がする。


『ここから跳びだそう』(Fly Away From Here)

なんとかしないと。(gotta find a way)
ああ、もう一日も待てない。(yeah, i can't wait another day)
何にも変わらないじゃないか。(ain't nothin' gonna change)
こんなところでぐずぐずしていたら。(if we stay 'round here)
どんなことをしても、なんとかしなきゃ。(gotta do what it takes)
すべては僕たちしだい、それに(cuz it's all in our hands)
間違いなんてみんなするんだし。(we all make mistakes)
でも、遅過ぎるなんてことは絶対にない。(yeah, but it's never too late)
やり直すんだ、一休みして。(to start again, take another breath)
そして、祈ろう。(and say another prayer)

そして、ここから飛び出すんだ。(and fly away from here)
どこかへ、そう、どこだっていい。(anywhere, yeah, i don't care)
ただ、ここからとびだすんだ。(we'll just fly away from here)
僕たちの希望と夢は、(our hopes and dreams are)
むこうのどこかにある。(out there somewhere)
もう時間はむだにしない。(won't let time pass us by)
僕たちはとぶんだ。(we'll just fly)

もし、人生がもっとつらくなったら、(if this life gets any harder now)
いや、ならない、心配することはない。(it ain't, no, never mind)
君が僕のそばにいてくれるんだから。(you got me by your side)
君が好きな時にいつでも(and any time you want)
列車にとびのり、(yeah, we can catch a train and)
もっといいところをさがせばいいんだ。(find a better place)
そう、僕たちは何があっても負けない、(yeah, cuz we won't let nothin')
誰にも邪魔させない(or no one keep gettin' us down)
君と僕なら(maybe you and i)
荷物をバッグにつめて、(can pack our bags )
あの空へ向かうことだってできる。(and hit the sky)

そしてここからとびだすんだ。(and fly away from here)
どこかへ、そう、どこだっていい。(anywhere, yeah i don't care)
ただ、ここからとびだすんだ。(we'll just fly away from here)
僕たちの希望と夢は、(our hopes and dreams are)
むこうのどこかにある。(out there somewhere)
もう時間はむだにしたりしない。(won't let time pass us by)
僕たちはとぶんだ。(we'll just fly)

前よりもずっと青いあの空がみえる?(do you see a bluer sky now?)
君はやっとましな人生を手に入れたんだ。(you can have a better life now)
目をあけて。(open your eyes)
ここには僕たちを止める人はもういないんだから、(cuz no one here can ever stop us)
試してみればいいさ、でも、止めさせない。(they can try but we won't let them)
絶対に。(no way)
君と僕なら(maybe you and i)
荷物をバッグにつめて(can pack our bags)
さよならを言えばいいだけのこと。(and say goodbye)

そして、ここからとびだすんだ。(and fly away from here)
どこかへ、ハニー、どこだっていい。(anywhere, honey, i don't care)
ただ、ここからとびだすんだ。(we'll just fly away from here)
僕たちの希望と夢は、(our hopes and dreams)
むこうのどこかにある。(are out there somewhere)
ここからとびだそう。(fly away from here)
そう、どこかへ、ハニー。(yeah anywhere honey)
どこだって、どこだって、どこだっていいんだ。(i don't i don't i don't care)
とにかくとびだそう・・・(we'll just fly...)

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