泥沼にはまったように寝ようと思っていたのに、10時くらいにパッチリと目が覚めてしまった。同じホテルに二日続けて部屋を予約できなかったので、今日はこのホテルをかえないといけない。正午ちょうどくらいにチェックアウトして、昨日行ったSUSHIに一人で昼飯を食べに行った。昼のセットメニューならそんなに高くないだろうなんて思っていたが、やっぱり高い。これも後で計算してみると、7,467.10円だった。瞬間的に値段のイメージがわいていたら、きっと入っていなかっただろう。しかし、店員は感じいいし、まずくないし、まあいいかと納得してみる。
それから、ブラブラとホテルの中を散歩してみる。スパがあったので、ここで時間を潰そうと思って入った。マッサージの予約をして、バスローブに着替えて、シャワーを浴びてジャグジーに向おうとするところで、バスローブのポケットに入れていた携帯電話を落としてしまった。硬い石の床の上に落ちて、かつ水に濡れている。もう死んだだろう。拾って開けてみたが、うんともすんとも言わない。あー面倒くさいことになった。電話自体はもう古いのでどうでもいいが、別の携帯を手に入れるまで、とにかく面倒くさいではないか。しかも、腕時計の電池が切れたようで時計まで止まっている。ジャグジーを目の前にして瞬間イライラ度がかなり高い状況に入っていた。
今すぐには何もできない。イライラせずにお湯につかろう。ジャグジーにはもう一人白人の60歳くらいのおじさんが入っていた。別に挨拶するわけでもなく、もちろん話もしないが、お互いの視界にお互いの映像はちゃんと入っている。彼は湯につかりながらずっと宙をみている。僕の視界の右端に位置する、その人の人生はどういう人生だったんだろう?今は何をしているんだろう?もう引退しているのだろうか?今も現役でバリバリ仕事しているのだろうか?あと少しで僕もあの人と同じ歳になる、その頃僕は何をしているだろう?いろんなことを考えてしまう。
そのうちに、さっきのいらつきは消えていった。時間とコミュニケーション。その二つの道具。決定的で致命的。爆発しそうなイライラは、僕の生活を象徴している。たぶん、ほとんどの現代人の生活を。永遠を自分で勝手に小刻みに区切り、その破片に追い回される。実は誰ともコミュニケートできていないことの言い訳にしか見えない電子的コミュニケーションにまた追い回されている。時間とコミュニケーション、暫定的な座標を決めないと現代人はそこなしの不安に陥る・・・そんなことを思いながら、マッサージを受けているうちに寝てしまっていた。
夢の中で肩をトントンとたたかれている。うんっ?目を開ける。終わりましたよ、という声。ああ、そうか、マッサージを受けていたんだ、と思う。ほんの1時間ちょっとのはずだが、ジャグジーにいたのが何年も前のように感じる。どうしたんだろう?なんか変だな。疲れてるなと思いながらベッドの上に起き上がると、マッサージをしていたおにいさんが呆れたような顔をして肩がガチガチに凝ってますよ、肌がものすごく乾燥してるし、といろいろと”症状”を説明し始める。彼の顔が何かを懇願しているような顔に見える。分かってる、また来るよ、と言って部屋を出た。
この1年いったい何千キロの移動をしただろう。いつか計算してみようなんて考えながら、もう移動のない生活をしたいと思いながら、次のホテルに向った。
チェックイン。いつもと同じ儀式。名前を言う。パスポートを見せる。クレジットカードを見せる。キーをもらう。スモーキングの部屋であること、インターネットがちゃんと機能してること、荷物をすぐに持ってくること、を確認する。それ以外のことは何も言わないで欲しい。時間の無駄。みんな早くチェックイン済ませよう。
もう夕方。どうも中途半端だ。夜中の2時にはチェックアウトしないといけないので、今から寝るのが一番だが、寝れるわけない。街に出て、携帯電話や時計を買うというのがもっとも効率のよい時間の使い方かもしれないが、どうも動く気になれない。結局、部屋の中でHouse to House の続きを読むことにした。
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24 May 08 Radisson SAS Hotel
Saturday, May 24, 2008
Friday, May 23, 2008
カブールへ
久しぶりにカブールに行く。いつも通り前日にパッキングできるわけもなく、2時間ほど寝て夜明け前にパッキングを始めた。午前10時10分発の飛行機なので、7時半にタクシーを呼んであわてて家を飛び出した。子ども二人に挨拶する時間もなかった。後で知ったことだが、長男は追いかけて4階から1階まで階段を走って降りてきたがもうタクシーは出た後だった。泣いて帰ってきたらしい。僕がカブールに到着する日に5歳になる次男は、僕が勝手に出て行ったと言って怒り狂っていたそうだ。どちらもカブールに着いて電話をするまで知らなかった。
コペンハーゲン空港に着いて、今回の出張中に読もうと思って楽しみにしていた本を忘れてきたことに気がついた。どうしようもなくいらつく。今さらどうしようもない。空港の本屋に行ってみたが英語の本は当然少ないし、5分くらい見渡してみたがろくでもないものしかない。それでも、何にもないよりもましと思って一冊だけ選んだ。House to House, David Bellavia. ペーパーバックの表紙に、The most terrifying battle of the Iraq War - through the eyes of the man who fought it.と書いてある。なんかB級戦争映画臭いなと思ったが、パラパラと開いてみると、どうやらファルージャの戦闘が舞台になっている。読んだことある人もあるかもしれないが、僕は以前ファルージャについて連載を書き始めたことがあった。結局、途中でほったらかしになって、今となってはどこまで書いたかも思い出せないのだが、実際にそこで戦った米兵の話という点に興味がわいた。
12時10分にパリのシャルル・ドゴール空港に着いたが、パリからドバイに向う空港が13時15分発になってる。65分はちょっとやばいかもしれない。コペンハーゲンとパリは両方ともEU内なので出国手続きはパリになる。最近はやたらとセキュリティチェックにも時間かかるし、間に合うかなあと思っていたが、案の定空港内で走るはめになった。
ここからは長いので、コペンハーゲン空港で買った House to House を読み始めた。19ページのPrologue を読んだだけで完全にはまった。スチュワーデスの気持ち悪い愛想笑いの数々を完全に無視してドバイまでの機中、僕の頭の中はずっとイラクの土漠と砂嵐でいっぱいになっていた。
ドバイには約30分くらい遅れて到着したみたいだ。ホテルに着くともう午後11時くらい。やっと1日の移動が終わった。荷物を部屋に置いて、ロビーで待っていたAさんとすぐにホテルの中にあるSUSHIという名前の寿司屋に言った。ドバイでは1、2を争う寿司屋らしく、うまいとは思うが、Aさんは伝票を見て高いと言っていた。クローネ・ドル・ディルハムの関係が頭の中でまだ整理できてなくて、ぴんと来なかったのだが、後で計算してみると、二人で45,951.38円だった。確かに高い。
翌朝ドバイからカブールへ向う予定だったが、出発が約20時間遅れて翌々日の午前3時にチェックインすることになった。ドバイにもう一泊しないといけないが、ハルシオンをのんで思いっきり寝ることにした。
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23 May 08 AF 1751 10:10-12:10 Copenhagen-Paris CDG
23 May 08 AF 526 13:15-21:55 Paris CDG-Dubai
Grand Hyatt Dubai
コペンハーゲン空港に着いて、今回の出張中に読もうと思って楽しみにしていた本を忘れてきたことに気がついた。どうしようもなくいらつく。今さらどうしようもない。空港の本屋に行ってみたが英語の本は当然少ないし、5分くらい見渡してみたがろくでもないものしかない。それでも、何にもないよりもましと思って一冊だけ選んだ。House to House, David Bellavia. ペーパーバックの表紙に、The most terrifying battle of the Iraq War - through the eyes of the man who fought it.と書いてある。なんかB級戦争映画臭いなと思ったが、パラパラと開いてみると、どうやらファルージャの戦闘が舞台になっている。読んだことある人もあるかもしれないが、僕は以前ファルージャについて連載を書き始めたことがあった。結局、途中でほったらかしになって、今となってはどこまで書いたかも思い出せないのだが、実際にそこで戦った米兵の話という点に興味がわいた。
12時10分にパリのシャルル・ドゴール空港に着いたが、パリからドバイに向う空港が13時15分発になってる。65分はちょっとやばいかもしれない。コペンハーゲンとパリは両方ともEU内なので出国手続きはパリになる。最近はやたらとセキュリティチェックにも時間かかるし、間に合うかなあと思っていたが、案の定空港内で走るはめになった。
ここからは長いので、コペンハーゲン空港で買った House to House を読み始めた。19ページのPrologue を読んだだけで完全にはまった。スチュワーデスの気持ち悪い愛想笑いの数々を完全に無視してドバイまでの機中、僕の頭の中はずっとイラクの土漠と砂嵐でいっぱいになっていた。
ドバイには約30分くらい遅れて到着したみたいだ。ホテルに着くともう午後11時くらい。やっと1日の移動が終わった。荷物を部屋に置いて、ロビーで待っていたAさんとすぐにホテルの中にあるSUSHIという名前の寿司屋に言った。ドバイでは1、2を争う寿司屋らしく、うまいとは思うが、Aさんは伝票を見て高いと言っていた。クローネ・ドル・ディルハムの関係が頭の中でまだ整理できてなくて、ぴんと来なかったのだが、後で計算してみると、二人で45,951.38円だった。確かに高い。
翌朝ドバイからカブールへ向う予定だったが、出発が約20時間遅れて翌々日の午前3時にチェックインすることになった。ドバイにもう一泊しないといけないが、ハルシオンをのんで思いっきり寝ることにした。
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23 May 08 AF 1751 10:10-12:10 Copenhagen-Paris CDG
23 May 08 AF 526 13:15-21:55 Paris CDG-Dubai
Grand Hyatt Dubai
Sunday, May 04, 2008
If you leave me now
American Idol のSeason 7 もトップ5まで来た。Brook Whilte はトップ6で落ちてしまった。American Idol のサイトを見ると、彼女の人柄を嫌う意見が途中から多く出てきた。あまりに良い子、というイメージを嫌悪する人たちが多くいる。スターを作るのは難しいものだ。純粋に歌唱力を競うのではなく、アイドルを探せというのが、American Idol の趣旨なので人気コンテストとしての要素が終盤戦になると強く表に出てくる。それでも、ジャリタレ合戦にならないという点がアメリカのマーケットの力のように思える。でも、Brook は必ず売れるCD を出すだろう。
誰が歌ってもオリジナルを越えられない曲というものがあるものだ。ビートルズのYesterday は、その代表だろう。日本語に訳した日には目も当てられないことになる。「きのお~♪」なんて出だしの歌をかっこよく歌うのは不可能だと思う。でも、Syesha Mercado のYesterday は、おっ!と思わせるものがあった。Syesha は序盤戦はあまり目立たなかったが、歌のうまさだけなら、トップ3に入るだろう。ずっと残って、CDを出して欲しいものだ。
トップ20で落ちてしまったが、 Alexandréa Lushington の歌う "If You Leave Me Now" はとても良かった。審査員のサイモンは、この歌はそれが出た時代にあまりに強くからみついていて、だから、誰もカバーしようとしない、そんな歌を選曲するAlexandréa は間違いだというようなことを言っていた。彼の言っていることはおそらく正しいのだろうと思う。このメロディが流れた瞬間に、もう時代が変わる、というくらいあまりに特定の時間にこびりついている。それでも、Alexandréa が歌う"If You Leave Me Now"は彼女のヴァージョンだった。甘く流れそうなところを危うくコントロールしていた。良かったと思うけどな。是非一度聴いてください(↓)。
誰が歌ってもオリジナルを越えられない曲というものがあるものだ。ビートルズのYesterday は、その代表だろう。日本語に訳した日には目も当てられないことになる。「きのお~♪」なんて出だしの歌をかっこよく歌うのは不可能だと思う。でも、Syesha Mercado のYesterday は、おっ!と思わせるものがあった。Syesha は序盤戦はあまり目立たなかったが、歌のうまさだけなら、トップ3に入るだろう。ずっと残って、CDを出して欲しいものだ。
トップ20で落ちてしまったが、 Alexandréa Lushington の歌う "If You Leave Me Now" はとても良かった。審査員のサイモンは、この歌はそれが出た時代にあまりに強くからみついていて、だから、誰もカバーしようとしない、そんな歌を選曲するAlexandréa は間違いだというようなことを言っていた。彼の言っていることはおそらく正しいのだろうと思う。このメロディが流れた瞬間に、もう時代が変わる、というくらいあまりに特定の時間にこびりついている。それでも、Alexandréa が歌う"If You Leave Me Now"は彼女のヴァージョンだった。甘く流れそうなところを危うくコントロールしていた。良かったと思うけどな。是非一度聴いてください(↓)。
Saturday, May 03, 2008
Charlie Wilson's War
Charlie Wilson's War をやっと見た(この映画については少し2008年1月8日に書いている)。
意外とおもしろかった。Charlie Wilson という下院議員はとんでもないエロおやじだった。なぜか好感がもてる。こういうシンプルな人がアフガニスタンの対ソ戦の背景にいた、というのがおもしろい。アフガニスタンの対ソ戦と言えば、ケーシーというCIA長官が有名だけど、それ以前に、政治家として重要視されていないCharlie Wilson が一人で走り回っていた。その様子が滑稽に描かれている。
付録にほんもののCharlie Wilson が出ていたが、なるほど30年前は好感のもてるエロおやじだったのだろうと思わせるものがあった。We fucked up the end game というCharlie Wilson の言葉が引用されていた。エロおやじは9/11を予感していたのだろう。
意外とおもしろかった。Charlie Wilson という下院議員はとんでもないエロおやじだった。なぜか好感がもてる。こういうシンプルな人がアフガニスタンの対ソ戦の背景にいた、というのがおもしろい。アフガニスタンの対ソ戦と言えば、ケーシーというCIA長官が有名だけど、それ以前に、政治家として重要視されていないCharlie Wilson が一人で走り回っていた。その様子が滑稽に描かれている。
付録にほんもののCharlie Wilson が出ていたが、なるほど30年前は好感のもてるエロおやじだったのだろうと思わせるものがあった。We fucked up the end game というCharlie Wilson の言葉が引用されていた。エロおやじは9/11を予感していたのだろう。
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