Saturday, May 24, 2008

中途半端な時間

泥沼にはまったように寝ようと思っていたのに、10時くらいにパッチリと目が覚めてしまった。同じホテルに二日続けて部屋を予約できなかったので、今日はこのホテルをかえないといけない。正午ちょうどくらいにチェックアウトして、昨日行ったSUSHIに一人で昼飯を食べに行った。昼のセットメニューならそんなに高くないだろうなんて思っていたが、やっぱり高い。これも後で計算してみると、7,467.10円だった。瞬間的に値段のイメージがわいていたら、きっと入っていなかっただろう。しかし、店員は感じいいし、まずくないし、まあいいかと納得してみる。

それから、ブラブラとホテルの中を散歩してみる。スパがあったので、ここで時間を潰そうと思って入った。マッサージの予約をして、バスローブに着替えて、シャワーを浴びてジャグジーに向おうとするところで、バスローブのポケットに入れていた携帯電話を落としてしまった。硬い石の床の上に落ちて、かつ水に濡れている。もう死んだだろう。拾って開けてみたが、うんともすんとも言わない。あー面倒くさいことになった。電話自体はもう古いのでどうでもいいが、別の携帯を手に入れるまで、とにかく面倒くさいではないか。しかも、腕時計の電池が切れたようで時計まで止まっている。ジャグジーを目の前にして瞬間イライラ度がかなり高い状況に入っていた。

今すぐには何もできない。イライラせずにお湯につかろう。ジャグジーにはもう一人白人の60歳くらいのおじさんが入っていた。別に挨拶するわけでもなく、もちろん話もしないが、お互いの視界にお互いの映像はちゃんと入っている。彼は湯につかりながらずっと宙をみている。僕の視界の右端に位置する、その人の人生はどういう人生だったんだろう?今は何をしているんだろう?もう引退しているのだろうか?今も現役でバリバリ仕事しているのだろうか?あと少しで僕もあの人と同じ歳になる、その頃僕は何をしているだろう?いろんなことを考えてしまう。

そのうちに、さっきのいらつきは消えていった。時間とコミュニケーション。その二つの道具。決定的で致命的。爆発しそうなイライラは、僕の生活を象徴している。たぶん、ほとんどの現代人の生活を。永遠を自分で勝手に小刻みに区切り、その破片に追い回される。実は誰ともコミュニケートできていないことの言い訳にしか見えない電子的コミュニケーションにまた追い回されている。時間とコミュニケーション、暫定的な座標を決めないと現代人はそこなしの不安に陥る・・・そんなことを思いながら、マッサージを受けているうちに寝てしまっていた。

夢の中で肩をトントンとたたかれている。うんっ?目を開ける。終わりましたよ、という声。ああ、そうか、マッサージを受けていたんだ、と思う。ほんの1時間ちょっとのはずだが、ジャグジーにいたのが何年も前のように感じる。どうしたんだろう?なんか変だな。疲れてるなと思いながらベッドの上に起き上がると、マッサージをしていたおにいさんが呆れたような顔をして肩がガチガチに凝ってますよ、肌がものすごく乾燥してるし、といろいろと”症状”を説明し始める。彼の顔が何かを懇願しているような顔に見える。分かってる、また来るよ、と言って部屋を出た。

この1年いったい何千キロの移動をしただろう。いつか計算してみようなんて考えながら、もう移動のない生活をしたいと思いながら、次のホテルに向った。

チェックイン。いつもと同じ儀式。名前を言う。パスポートを見せる。クレジットカードを見せる。キーをもらう。スモーキングの部屋であること、インターネットがちゃんと機能してること、荷物をすぐに持ってくること、を確認する。それ以外のことは何も言わないで欲しい。時間の無駄。みんな早くチェックイン済ませよう。

もう夕方。どうも中途半端だ。夜中の2時にはチェックアウトしないといけないので、今から寝るのが一番だが、寝れるわけない。街に出て、携帯電話や時計を買うというのがもっとも効率のよい時間の使い方かもしれないが、どうも動く気になれない。結局、部屋の中でHouse to House の続きを読むことにした。

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24 May 08 Radisson SAS Hotel

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