Thursday, December 15, 2005

とても Hung Up

な気分だなあ。なんもかも中途半端なまま、怒涛の闘病生活、というほどでもないけど、うだうだするだけで生産性皆無の生活を続けるうちに、もう何が中途半端だったのかさえ忘れ始めた。

今日はもういいかげんにすっきりしているかなと期待していたが、目が覚めてみると、いまいちだった。咳は減った。鼻水も減った。涙目も減った。のどの痛みはほぼ壊滅。しかし、全身の微妙な震え感がしぶとく残っている。脳みそがわなわなしてる感じが一番嫌だ。目に入ってくるものにちっとも現実感がない。ひょっとして頭の病気?

約束通り、旅行代理店の人がイスラマバード・バンコク・成田の往復チケットをもってきてくれた。64,800ルピーだった。米ドルに直すと、1,080ドルだが、百ドル紙幣しかもってなかったので、1,100ドル払った。なんか勘違いして頭の中では120ルピーのお釣りだと思って、お釣りいらないよと言ってしまっていた。後で考えたら、20ドルのお釣りだから、1,200ルピーもあげたことになる。ああ、バカじゃないか!

その後、歯医者に行った。常に2週間前からびっちり予約が入っているカリスマ歯医者なので、予約時間に遅れるとみてもらえない。今日も受付の女の子は愛想がいい。この国では愛想のよい若い女性というのはほとんど語義矛盾、つまり、あってはいけないことなので、この歯医者に入って彼女を見た瞬間、違う国に来たような気がする。女は笑顔一つで世界を変革する、とかってレーニンとかチェ・ゲバラとかカストロとか毛沢東とかジョン・レノンは言わなかったかもしれないが、『すべての男は消耗品である』には書いてありそうな気がする。

毎回、麻酔を打ちまくって治療をするので、今はいろんな薬をのんでることを一応伝えた方がいいのかなとも思ったが、たかが風邪薬だし、それに「それじゃあ、今日は治療なし」なんてことにはなって欲しくないので、風邪引いて調子悪いとは言ったが、薬のことは何も言わなかった。

相変わらず歯医者ジュネは手際よく治療を始めた。3人の若い女性がアシスタント役をやっているのだけど、分業がすごくうまくいっていて、ジュネの心が読めるようにてきぱきと動いている。ああ、それにくらべて、うちのオフィスときたら、ったく、とふと思うが忘れることにする。

あれっ?胃のあたりに盛り上がり感がある。なんか、これは吐きそう・・・。まずい、吐くのでは・・・。でも口をあけたままで治療は続いているし、何にも言えない。どうしたものか。この状態で嘔吐が始まると悲惨なことになりそうだ。痛い時は手をあげろとか言ってたから、手をあげたら気づいてくれるか。しかし、もう少し我慢してみようかな。終わるまで持ちこたえるかもしれないし。やっぱり麻酔と風邪薬の食い合わせが悪かったか??

吐き気を我慢して、目をつぶっているとやがて口を開けているのもしんどくなった。もうギブアップしようと思ったら、歯医者ジュネのOKという声が聞こえた。終わったらしい。歯医者に向けての逆噴嘔吐というおぞましい事態は避けられた。

いつものように、ジュネはまるで「今日の試合を振りかえって」みたいな De-briefing をしてくれている。こういうのがとてもジュネ先生らしい。治療方針、なぜそういう方針にするのか、そのための現実的なオプションは何か、それぞれのリスクは何か、そして今日はどこまで進んだか、要するに、決して患者を暗闇に放置しないという方針なのだ。見方を変えれば、まるで良いプロジェクト・マネジメントの見本のようだ。

歯医者を出てから、少し歩くことにした。四日間もごろごろしているので筋肉が衰えてしまってる。わなわな感もそれに関係しているのだろう。そう思って、昨日の夜は1キロほど離れたマーケットまで歩いて行き、ケンタッキーのフライドチキンを食べたのだった。注文する時に、「辛いのか、普通のか」って訊くから、辛いのをバーガーに、普通のを単品で頼んだが、食べてみると全部辛かった。とてもパキスタンらしい。帰りに、Radio City というCD/DVD屋さんで、マドンナの"Confessions on A Dance Floor" を買った。1曲目の "Hung Up" の懐かしい音色が聞きたかった。同じ歳で最も偉大な人はマドンナかもしれないなあ。

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