Thursday, December 09, 2004

ヨシログ開始!

ヨシログをよろしぐ、なんて絶対書いてたまるかなんて思いつめていると、いつまで経ってもこのフレーズが頭から離れないので、やっぱり一度書いておくことにした。

12時間半のフライトは長過ぎ。背骨折れるかと思た。JFKに着いて、入国審査の列にぼーっとした頭で並んでいると、どっかで見たことある顔がある。じろじろ見ていると、それを感じているらしいが決してこっちを見ようとしない。いろんな人にじろじろ見られることに慣れているようだ。でも、不機嫌な顔をせず、微笑が顔に浮かんでいる。性格良さそう。アディダスのバッグを背中に背負って、黒いセーターに黒いパンツに黒い運動靴(っていうかなんというかしらんが上等そうなスポーツもんの靴)。足はスラッと長く、どこにも贅肉がついていない。ショートカットが似合う。う~む、これはやはりあの人だ、と思うが、それがどうした?うん?

やがてBaggage Claim のところに行くと、カートに今から引越しでっか?と訊きたくなるような荷物。それでもまだ待っている。すべての荷物からスポーツもんの臭いがぷんぷんする。やはり、これはあの人にちがいない。でも、あまりジロジロ見て嫌われたくないので(嫌いもへったくれもないとは思うけど)、あえて目をそらして横を通り過ぎて出て行くことにした。伊達公子は可愛い。

やっと外へ出て、即タバコに火をつけた。と思ったら、タクシーの客引きがうるさく寄ってくる。二年前のちょうど今頃、JFKに来た時と同じや。もううるさいなあ、と思いつつも、さっきの伊達公子を思い出し、笑顔で「ちょっと待って。タバコくらい吸わせてくれ」と言うと、タクシーの中で吸ってもいいという返事。しかも、僕のバッグを持ってスタコラサッサとタクシーの方へ持っていく。まるでパキスタンやがな。

最近白タク被害が多いので気をつけてくださいというアナウンスが入国審査の時にやってたのを思い出した。もううっとうしいなぁ、白タクぅ?ウソやろぉ?こんな朝っぱらからぁ、的不愉快な気分で客引きの方を見ると、やはりタクシーが並んでいるところとは違うところへ向かっている。「タクシー乗り場あっちやで」と忠告してあげると、「ああ、あれはブルックリンに行くタクシー」というウソまるだしのウソ。一瞬伊達公子を捨てるかどうか迷ったが、「どれに乗るねん?」と訊くと、パーキングビルの中でひっそり一台だけ停まってるタクシーを指差す。なんやイエローキャブやないかえ。抜け駆けして客を取るタクシーやったわけや。

「ほんまにタクシーの中でタバコ吸うてもええんか?」と念を押すと、ええという返事。もうええか、どうせ、マンハッタンまではflat rate や、抜け駆けタクシーに乗ったからって乗客の犯罪でもあるまいし、ということで乗ることにした。

NYのイエローキャブは公共政策の教科書によく出てくるので、アメリカの大学院におる時にちょっと読んだことを思い出した。イエローキャブは許可制になっている。誰でも勝手に黄色い車にメーターをつけてタクシー業に参入できるわけではない。その許可の数というのが制限されていて、例えば許可数が100なら、タクシードライバーが1000人いても、そのほとんどはタクシー業にはつけない。たいてい1台を二人くらいで交代で使ってるから、タクシードライバーになれるのは200人だけということになる。タクシードライバーになれたら、人によって差はあっても、ある一定の収入は確保できるということでもある。それが例えば、年収5万ドルなら、タクシーの許可というのは年に5万ドルを生み出す価値があるということになる。そこで、この許可が売買されるということになる。あるいは許可が通貨のように流通すると見ることもできる。

だから、イエローキャブが悪いことをするなんてことはめったにない。許可を失う損失よりも大きな利益が得られると思えばなんかしでかすこともあるかもしれないが、そんな大きな(やばい)仕事をするなら、もっと他の手段でとっくの昔にやらかしてるやろう。イエローキャブなら一応安心するというのはそういうことなんだけど、常に例外はあるから、抜け駆けするようなタクシーには乗ることを勧めようとは思わない。(ちなみに、公共政策でイエローキャブを取り上げるのは、許可数を制限することは社会全体にとってどのような(良い・悪い)効果があるのかということで、抜け駆けタクシーに乗るべきかどうかということは何の関係もない話。)

* * *

ホテルに着いたら、早すぎてチェックインまで二時間ほど待ってくれと言われた。眠くて死にそうだったが、お腹もすいていたので、荷物だけ預けて近所をブラブラすることにした。ホテルはブロードウェイと47th St.の交差するあたりにあるので、マンハッタンのど真ん中。アメリカ中の田舎もんが集まってきているような場所だ。どこもかしこも観光客でごった返して歩きづらい。まだ11時前なので、ピザとかハンバーガーの店以外は、まだランチが始まってない。ファーストフードは食う気せんなあと思いながらぶらついていると、今まさに暖簾を出そうとしているラーメン屋があった。のぞいて見ると、ごはんもありそうだった。NYに来ていきなりラーメン屋も風情がないが、そんなことにはあんまり拘らないので、そこに入って親子丼を食べた。感動のない味だったけど、まあどうでもええかという気分で店を出て、ロックフェラーセンターのアイススケートを見たり、おもちゃ屋をのぞいたりして、なんとか時間をつぶしてホテルにもどった。ああ、これからミーティングなんて行っても、また生ゴミ状態やなあと思いつつ、オフィスに電話してみると、今日はゆっくり休んでくれという美しくも人間愛に満ちたお言葉。即、ベッドに入って爆睡。

* * *

6時半頃、ブルックリンに住む友人から電話があり、いっしょに韓国焼肉を食べに行くことになった。いっしょにバグダッドへ行った友人なので、その頃の話に花が咲く。ちょっと食い過ぎた。32丁目はどこもかしこも韓国語が氾濫していた。アカスリという看板がいくつかあったので、焼肉を食べた後、少し散歩をして、一人で行ってみた。思いっきり本格的。アンマンのトルコ風呂に出てきた筋骨隆々のにいちゃん達に負けないくらいすごい筋肉質の韓国人のにいちゃんにしごきまくられた。これで、12時間半のフライトで腐った身体が少し楽になったような気がする。

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