日本に4日間だけ帰っていた。今はカブールへ戻る途中でバンコク。今日の夜
はドバイで一泊し、明日の朝はカブール。
日本で久しぶりに報道ステーションを見ていたら、
NHKのこともその会長のこともすごくストレートに話している人のビデオが流れていたので、
この人は誰だろうって考えていた。
画面の隅の方に「NHK職員」と書いてあるのを見ても、
「元」という字が抜けているのだろうかと思ったりしていた。
公共に向けてあまりにすらすらと自社であるNHKの批判をしているのが
非常に奇異な感じだったのだ。
NHKに全然関係ない人が演技をしているようにしか見えない。
何度も、僕は「元」という字がないか確認してしまった。
ほんとにこの人は現役のNHK職員なのだろうか、
もしそうなら、NHKはものすごく健全な会社ではないか、と思ったりしながら、
あとでテレビ関係の友人にこの人のことを知っているかどうかきいてみようと思っていた。
友人の話を聞くと、ああ案の定・・・、NHKは健全でもなんでもない、
そして、あの人は自爆攻撃をやったんだ、ということを確認した。
えらい人だなあ、というため息が出る。
正義に訴えるあらゆる手段が奪われた時に自爆攻撃は起こる。
パレスチナ人が自爆攻撃をしても、
自爆攻撃者と同じ環境を共有する普通の人の間には、
その結果のもたらす直接的悲劇のもたらす哀しみとは別に、
やはり「尊敬」という感情がわきおこっているのだろうと思う。
それの行くつく先に9・11があったのだと思う。
それは、現代世界の正義を考え直す絶好の機会だったのに、
我々はそれをまったく逆に不正義の飛躍的な増加の機会にしてしまった。
自滅の道を進んでいるとしか思えない。
それとも、僕の頭がおかしくなってしまったのだろうか。
昨日、東京で国連本部のASG(Assistant Secretary General)の一人と話す機会があった。Counter-Terrorismが話題になった時、僕はCounter-Terrorismという名目で行っていることが、あまりに稚拙な理論に基づいた暴力に頼った行為なので、実際の効果としては、Counter-Counter-Terrorismになってしまっていると言うと、彼女は吐き捨てるような勢いで、言いたいことはよく分かる、なぜテロが起こるか考えなければいけないのに!と言って、あとは口ごもっていた。ASGともなるとさすがに、特定の国の批判になるようなことはぺらぺら言えないだろう。
* * *
バンコクの新聞の一面は、津波関係の記事でうずまっている。金髪の小学生くらいの、とても可愛いが、うつろな目をした女の子の写真が大きくのっていた。津波で両親がなくなり、本人の顔も傷だらけだ。この女の子は何も覚えてないという。誰か知っている人がいないかと、この子が収容されている病院が探している。
一番大きな見出しは、Govt 'has aid priorities wrong' というものだ。"The government does not give the people what they want but give them what they don't want"の一文で要約される話だ。要するに、トンチンカンな援助を批判している。
妊婦や幼児、老人を一刻も早くテントから、まともな施設に移すべき時に、政府は、permanent houseの建設に取り掛かっているとか、海の近くで船の世話をしなければいけない漁師達のために政府が急いで建築している家が内陸奥深くにあるとか、そんな話だ。
政府のトップーダウンのやり方が厳しく批判されているのだが、これらはバンコク・ポストとポスト・トゥデイという二つの新聞社がプーケットで主催した「The Giant Waves: The Turning Point of the State and Society」というタイトルのセミナーで表明された意見だ。津波から約3週間だが、早くもこれまでの対応に対する反省が始まっているということだ。このセミナーの結論は、次の言葉で集約されるだろう。「Don't do anything for the people without listening to them first.」
ホテルのテレビに入っているNHKでは、自衛隊の人がインタビューにこたえて、今月末(!)には医療活動を開始したいとか言っていたが、いったいなんのこと?まさか同じ津波の話ではないでしょ、としか思えなかった。そんなにゆっくりやってくるんなら、医療より、それこそpermanent houseの建築を手伝うとか、タイだけで、生き残った人の1割、800人以上の人が身体障害者になってしまったそうだが、そういう人たちのリハビリとか必要な器具や施設を供与するとか、タイでは身元不明の死体のデータの収集とプロセスでもめているのだが、そういう処理の協力をするとか、非常に長期的な取組が必要になる生き残った人のメンタル・ケアに50年くらいのスパンで取り組むとか、なんかもっと現実的に必要なことをすればいいと思うのだが、のこのこと一ヶ月もたってから「緊急医療施設」をオープンするなんて、もうこれは日本の単なる人気取り(ポピュリズム)としか思われなくてもしょうがないだろう。
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