Monday, May 29, 2006

Irritatingly Catchy

Miss USA 2006 の放映がもうすぐあるらしく、しょっちゅうそのコマーシャルがテレビに現れるのだけど、そのバックにJAMES BLUNT の "You're Beautiful" が使われている。最初にほんの1秒か2秒聞くだけで、ああもうこれは軽く数百万枚突破だなというような曲で、当然売れまくっていると思う。Miss USA 2006 だけでなく、いろんなところから聞こえてくる。

先日、EuroNews でBest Song 賞のニュースをやっていて、やはり"You're Beautiful" も賞をとった曲の一つだった。そのニュースの中で、田舎の信用金庫のエライさんのような禿げちゃびん系のアナウンサー、つまりまったくポップな音楽には縁 もゆかりも興味も関心もございませんって風情のおっさんが、一目見て思わずお前はベートーヴェンか、とつっこみたくなるような、神経質な顔した髪の毛ぼっ さくの、そんなに歳寄りでないが、旧共産圏で製造したとしか思えない背広を着て、ピアノの前に座っている作曲家にインタビューしていた。

この二人の造形美だけで、僕はEuroNew の少なくともこの部分に釘付けになったから、これはディレクターの勝利だろう。ドブネズミ系のスーツが板についているアナウンサーは、いきなり、 「"You're Beautiful" は、Irritatingly catchy だけど、どうなんだい?」と切り出した。おお、鋭いな、このおやじ。ぼっさくベートーヴェンはまったく動じず、ちょっとコード進行を見てみようと言って、 ダーン、ダーン、ダーン、と弾いてみせる。そして、「まあ、ごくありふれたコード進行で、ビートルズもこういう進行の曲をたくさん作ったし、 彼は(JAMES BLUNT)は、これまでのヒット曲をよく研究したんだろうね」と言う。すると、すかさず、禿げは、「もうすべてのトリック、すべてのメロディ、すべての 組み合わせは出尽くしたんじゃないか。まだ、新しい組み合わせは可能なのか」と追求する。共産系ベートーヴェンは、少し苦笑い気味に、ほとんどそう言える かもしれないが、まだ可能性はある、みたいなことを言った。そりゃ、そうだろう。なければ、彼の作曲家という職業はどうなるんだ。

そして、画面はパッと天気予報に変わった。これがニュースかよ。なんかレベル高いことやってんな。それにしても、あの禿げは一般視聴者が思っているようなことをうまく質問してくれたもんだ。アホみたいな絶賛しか知らないアナウンサーとは一味違った。

その後、彼の使ったirritatingly catchy というフレーズが頭の中にこびりついて離れなくなってきた。そう言えば、Miss USA 2006 に出てくる51人の美女のあの笑顔もirritatingly catchy だ。思わずテレビ画面に向かって、どうせ口あけて寝てたって、鼻くそほじくったってキレイなんだから、そんなにニタニタすんなと言いたくなる。日本でも、 スチュワーデスとかキャビン・アテンダントがそのずっと後の女子アナ並に花形職業だった頃、つまり本来の業務とはまったく関係ない部分で評価されていたよ うな頃、ああいう笑顔が蔓延していた。あれがうれしい男と、あれにぞっとする男との割合は、当時は当然前者が高かったから、あういう戦略が有効だったのだ ろう。今はその割合はたぶん逆転しているのではないか。でも、よく分からない。もしそうだとすれば、日本の航空会社も戦略を転換しなくてはいけないだろう けど、どうしたかな。クソ忙しい時に何考えてるんだろう?

で、とりあえず、"You're Beautiful" ダウンロードしてみっか。

No comments: