就業時間(というのが正確に何時から何時までなのか定かではないのだが)の終わりが近づくとNYから電話がかかってくる。6時間の時差があるので、こっちはもうやる気が失せかけ、むこうはまだやる気にならない、ちょっと素敵な組み合わせ。
ベッドに倒れこんだ人とまだ寝ぼけている人の会話を想像するとよいかもしれない。これ以上に不効率な会話ができる可能性のある組み合わせは新婚旅行から帰ってきて成田に着いたばっかりの夫婦くらいだろう。
なんでこんな日に働かないといけないんだと、旧社会主義国家出身の同僚は電話のむこうで憤っていた。5月1日は1年で一番大切な日だったのにと言っていた。なるほど、そういうものなのだ。労働者の日だもんな。
旧ソ連に属していた国とか、その回りの社会主義国から来ている人と話していると、冷戦時代に一度くらい東側ブロックに行っておきたかったものだとよく思う。”腐敗した”西側世界とはまったくの別世界が存在していたわけで実に興味深い。おもしろいことに、その当時を全面擁護するガチガチの共産主義者のような人には出会ったことがないが、その当時の社会システムを全否定する人にも出会ったことがない。どうやら、”悪の帝国”ではなかったらしい。
デンマークに住んでいるのだから、出会うのはヨーロッパの人が圧倒的に多いわけだが、ヨーロッパといってもなかなか広く、多様だ。西ヨーロッパと東ヨーロッパという分け方はあまりに粗雑だけど、便宜上そう分けて話すと、西ヨーロッパ人と日本人がほんとに心の底から溶け合うなんてことはまず永久にないのではないかと思う。どうしようもなく、根本的に違うところが精神の奥深くにあり、この溝は埋まるものではないのだろう。
といっても、普通に人間付き合いするにあたって、すべての人と心が溶け合う必要は毛頭ないわけでプラクティカルには問題ないとも思う。
しかし、それに比べて東ヨーロッパの人にはどうも裸感が湧き上がってきて、すぐに懐に入り合う関係になる。アジア系がもっている「ねっとり入ってきますよ」って感覚を彼らは自然に持っているのだ。だから、ルーマニアやブルガリアやアルバニアやボスニアやアゼルバイジャンやアルメニアやタジキスタンなんかの人とは、素の自分で話しているなと思う。
労働者の日を剥奪された彼といかにして世界を救うかについて2秒くらい話して、あと59分くらい、いかにして自分たちを救うかの話に専念して、まだこの世に救いはないので、飲みにいこうという結論に達した。
そんなアホ会話のあと、ぼーっと放心しながら、足を交互に前後ろに動かして、オフィスから家までひたすら前進していたら、あれっ、5月1日?聞き覚えのある日付。そうだ、ゴールデンウイークというものが日本では始まっているのではないか。
僕はもう取れる休みを使いまくったのでほとんど永久奴隷状態だ。次の手術をする休暇が足りないと、今日担当者が親切にも教えてくれた。
この右肩、やはり固まってる。フィジオでは無理なんだ。一回350クローネ(6200円)ってぼったくりのような気もするがデンマークの相場かもしれない。いずれにしろ、これ続けても治りそうにない。
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