Friday, January 25, 2008

まちがい

どこの家でも小さい子どもがいる家はこんなに朝は騒々しいのだろうか。まずなかなか起きない子どもをなんとか起こそうとする段階で母親の最初のいらつきの芽がまかれる。そしてぐずぐすしてなかなか済まない朝食で本格的にいらつきのエンジンがかかり始める。歯を磨かせようとする頃には本調子だ。そして、服を着替える段階で最高潮に達する。靴をなかなかはけないところでトドメを指す。

どうも身体が重くてベッドから出る気がせず、騒動の成り行きを音だけで追っていた。どうしてこんなに疲れているのだろうか、昨日寝たのは何時だったかなどと考え始めて気がついた。昨日は18時間続けて仕事していた。その間に一食しか食べてない。規定の二日以上ではないか、バカバカしいと思って、オフィスに行くのはやめることにした。

しかし、よくよく考えると午後から採用インタビューの予定が三つ入っていたので、これをすっぽかすわけにはいかない。とりあえず同僚に昼頃に行くとメールを送ろうとしたのが間違いだった。洪水状態のinboxを見ると、どうしてもすぐに返答しないといけないものがいくつかある。しょうがないから、それだけ返事を出そうと思って書き始めたら、すっかり仕事モードになってしまった。結局、シャワーを浴びて、オフィスに行くことにした。

この仕事はいくら追いかけても追いつかない。しかし、ほったらかしにすると、ものすごい勢いで増加していくので、追いかけないとしょうがない。どう頑張ろうがどうせ追いつかないんだから、無理なものは無理でほっとこうと、よく同僚達と話す。ストレスを溜めないための処置としてそういうことを話すのだけど、それが効果的かというとそうでもないのだ。仕事がどんどん溜まるとそれが今後は気になってまた別のストレスが発生する。だから、やってもやらなくてもどっちにしても、ストレスまみれになるということだ。処理能力を超えた仕事量というのは精神のどこかを確実に蝕んでいくだろうと思う。

* * *

明日は長男の日本語学校があるので、金曜日は宿題を見る。ほんとは毎日少しずつ見るべきなのだけど、子どもよりもこっちが疲れていて結局いつも一夜漬けとなる。毎回漢字のテストがあるのだが、うちの長男はひらがなもあやしいし、カタカナはほとんど覚えていない。それでも、英語、日本語、ウルドゥー語に加えて最近は急速にデンマーク語も分かるようになってきた。その上に、今学校の勉強を詰め込んだところで、長期的にはたいしてメリットもないような気がするので、あんまり熱心に漢字を覚えろと言う気にもならない。

今回の宿題はなんだろうと先生の手紙を見ると、なんと俳句というのがあるではないか。そんなもの小学校一年生で教えているのかとちょっと驚いた。息子に俳句って何かしってるか、ときいても知らないという。しかし、だからと言って、どう説明したらいいのか分からない。とりあえず、poem みたいなもんだ、five letters, seven letters, five letters になってる、と言ったがこれではさっぱりなんのことか分からないだろう。いくつか例があったので、それを見せてこんなのをなんか作ってみろと言って、タバコを吸いに行って戻ってきたら、「出来た」というではないか。

「きのうぼく  カレーライスを  たべました」

「・・・・俳句というのは、そうじゃなくて」

と言いかけたが、そうじゃくていったい何なのか。確かに、five letters, seven letters, five letters ではある。まあ、いいか、そのうち分かると思って、それでよしとした。

次に音読の宿題をすることにした。毎日読むことが宿題なのだが、結局今週も一回も読まず、前日にこうやって一回だけ読むことになる。一行ずつ番号がついている短い分を読んでいく。

「1.生まれたばかり。2.大きな耳。3.一年くらい。」

ここまではなんなく進んだ。しかし、次の4で何かしばらく考えている。

「4.草を・・・、た、た、た」

・・・・?なんでそんなところで詰まるんだ?

「草を・・・、た、た、たたべるの?」

はあ?何をきいているんだ?意味なんか考えなくていいんだって。本を見ると。「草をたべる」と書いてあるだけで、それを読めばいいのだが、草をたべるという行為に息子は疑問を持ってしまって、前に進めなくなったらしい。

そんなことどうでもいいんだって、ということが子どもの勉強を見ているとしばしばある。しかし、子どもはそういうところに妙にひっかかってしまう。さっきの俳句といい、なかなか笑わせてくれる。

「牛とか草たべるでしょ。自分がたべるって思わなくていいの」と言って、とりあえずこの難局は切り抜けたのだが、よくよく考えると、息子はほとんど主語のある世界に住んでいる。しかし、日本語にはほとんど主語が出てこない。草をたべるのが自分であるという方向に想像が向ってしまってパニックに陥っても全然不思議ではない。子どものまちがいというのは、大人の正解よりはるかに興味深いものだ。

* * *

18日だったので、ちょっと古いけど、CIAも、ブットー暗殺をメフスッドの仕業って結論したみたいだな。

CIA Director Michael Hayden is now backing the Pakistani government's view.
"This was done by that network around Baitullah Mehsud. We have no reason to question that," Mr Hayden told the Washington Post.

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