Sunday, January 08, 2006

移動 2

朝の6時半は真っ暗だった。とても寒い。空港へ向かう途中、タクシードライバーが赤信号を三回無視して、三回目に警官につかまった。どうせ少しお金を渡せ ば、解放されるだろうと思い、ドライバーと警官二人が交渉しているのを見ながら、外は寒いので僕は車の中で待っていた。

なかなか終わらないので、外に出てみると、交渉は難航している。飛行機に乗り遅れるよ~と言ってみたが何の効果もない。Uターンして戻らされることになってしまった。もう一度宿まで戻って別のタクシーを調達するしかない。

戻る途中、さっき無視した信号のところで止まった。警官も原付に乗ってついてくる。ドライバーが窓をあけて警官になんか言った。警官は面倒くさそうに、手 をふって、もう行けと合図する。小遣い銭が手に入らないなら時間のむだだと諦めたのだった。頑強に金を払わなかったドライバーの勝ちだった。

イスラマバード空港でUNHCRのフランソワに会った。彼も冬休みをとっていて、ジュネーヴからイスラマバードに三日前に戻ったのだが、カブールに戻る飛 行機に乗り遅れてやっと今日の便の席が取れたという。9歳、6歳、4歳の子供がいて、子供たちとあと三日間過ごせたのにと、三日の損をしきりに悔しがって いた。

"Beyond Reconstruction In Afghanistan - Lessons from Development Experience" という本を持っていたので少し見せてもらった。おもしろそうなので次回イスラマバードに来たら買おう。

カブールには珍しくほぼ時間通り10時前に着いた。オフィスには行かず、ゲストハウスに行き、少し寝ることにした。3時間ほど寝てシャワーを浴びようと 思ったが電気がなくてシャワーが使えない。しかたないから、そのままオフィスに行った。これから仕事をするという実感がわかない。

アミールがちゃんと生きているかが一番心配だったのだが、なんとか生きながらえていた。でも、ボロ雑巾化は否めない。「サマルカンド」という新しいレスト ランがオープンした、そこにビリヤード台もあるとアミールが言うので、その日は早い目に仕事を終えて、「サマルカンド」に行くことにした。

「サマルカンド」は三階建ての巨大なレストランだった。一番上の階にバーがあるのでまずそこに行き、飲むことにした。金髪のロシア語を話す女性がウェートレスだった。何国人か分からないが、ちゃんと英語も喋る。

ビールを飲みながら留守中の出来事をアミールに少し話してもらう。その後、ピニャ・コラーダを二杯飲んで、いざ2階のビリヤードがある場所へ移動した。5 ゲームして、1勝4敗で、僕のボロ負けであった。僕は誰とやってもたいてい負けるのでこの成績はなんの参考にもならないのだが、アミールはかなりうまいと 思う。

10時くらいになって眠くなってきた。そう言えば、今日が『フォーサイト』原稿の締め切りではないか。相当まずい事態だ。これから帰って書こうと思い、ビリヤードの後、もう一杯だけピニャ・コラーダを飲んで帰ることにした。

門限の11時ちょっと前にゲストハウスに着いた。原稿?書けるわけないやろ。
すぐに寝た。

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